固体酸化物形セルに水蒸気と二酸化炭素を供給し同時電解(共電解)を利用するシステムは,シンプルなプロセスから高いエネルギー効率で炭化水素系燃料を合 成可能なため,再生可能エネルギーからのインフラ適合性の高い燃料製造,電力負荷平準デバイスとして期待できる.ただし,水蒸気・二酸化炭素電解反応およ び逆水性シフト反応は吸熱反応であり,セル内の温度や反応分布の要因は複雑であるため,その系統的な理解やセル構造の最適化はほとんどされていないため, 本研究の目的を二酸化炭素・水蒸気を共電解中の固体酸化物形セル内の発電・反応・温度分布のマルチフィジックス解析スキームを開発し,その性能・劣化に対 する支配因子を整理することとしている. 特に,2021年度には富山大の協力のもとメタネーション反応とシフト反応の実測とその整理を行い,解析モデルに取り込んだ.特に150℃付近の低温時の反応速度についてはこれまでほとんど報告されておらず,貴重なデータであると考えている.
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