研究課題/領域番号 |
20K04326
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 仁 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (40229050)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 移動体冷却 / 逆解析 / スプレー冷却 / 沸騰 |
研究実績の概要 |
鉄鋼業をはじめとする金属素材の製造プロセスでは、移動加熱体への水冷却が多用されている。この冷却による熱処理では、正確な温度管理が必要とされており、移動体冷却における伝熱特性評価法の確立が求められている。本研究の目的は,移動体冷却の基本要素である高温移動体への水冷媒の衝突挙動の素過程を観察実験により明らかにすることと,および,その際の伝熱量を定量化する逆解析手法を構築するとともに、その伝熱特性をラボスケールの実験で解明することである. 令和3年度は、前年度構築した流動観察手法を用いて、移動加熱鋼板に衝突する液滴列の変形挙動特性を基礎実験により研究し、衝突角、移動体速度、移動体温度などの緒因子が冷媒の流動に及ぼす影響を明らかにした。得られた結果の一部は、第2回アジア熱流体科学会議にて発表した. また、伝熱特性を評価するための逆解析手法の構築について、前年度に引き続き取り組んだ。この研究項目は、当初の研究計画では前年度に開発完了を予定していたものであるが、コロナ禍による研究の遅延が発生し、さらに逆解析の検証実験で克服すべき課題が生じたためである。逆解析では、冷媒と高温固体の接触面積とそれらが離脱直後の温度履歴の実測データを使用する。これらは、高速度カメラ及び赤外線サーモグラフィーカメラで計測するが、わずかな誤差ノイズが伝熱量の推算値にそれなりの影響を与えてしまうことが判明した。冷媒が球形ではなく柱状に衝突する場合については、対処方法を構築しつつあり、その成果の一部を日本鉄鋼協会春季講演大会で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍および基礎実験における測定精度の理由で、逆解析の検証作業に遅延が発生しているものの、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究は当初の計画に沿って進める予定であるが、基礎実験における計測精度に若干の課題が発生しているため、装置の改良を予定している。具体的には、加熱試験片の初期温度、試験片搬送速度、冷媒衝突流量などをより高度に制御し、計測の不確かさ小さくすることを検討している。そのための装置改良に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で初年度の実験装置作成に遅延が生じたため、2年度の研究計画にも若干の遅延が発生した。また、国際会議および国内の学会発表のための出張旅費を計上していたが、いずれも、オンライン形式に変更となったため不要となった。この経費は、実験装置改良のための消耗品費として使用する予定である。
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