本研究では燃料組成が火炎核の初期成長速度や最小着火エネルギ(MIE)に及ぼす影響を把握することを目的としている.昨年度までに,定容容器を用いてレーザ点火,もしくは火花点火により単成分燃料に対し,火炎核の成長速度を計測する手法を構築した.さらに,三次元数値解析手法に関しては,プラズマを考慮した数値解析手法を構築した.計算は熱プラズマを考慮し,平衡計算でプラズマの組成を検討している.熱伝導率,電気伝導率,粘性係数,拡散係数などの物性値はプラズマ組成を考慮して最大2万Kまで考慮する.さらに,圧縮性を考慮した連続の式,運動量保存式,エネルギー保存式,化学種保存式に加えて,電場式を考慮した計算コードを開発し,火花放電から火炎核の形成,火炎伝播までを扱える計算手法を確立した.今年度はアンモニア,水素,ヘプタン単体と混焼時の火炎核成長を計測した.計測手法の見直しや計測結果から火炎核を評価する手法を最適化し,層流燃焼速度に及ぼす燃料組成や当量比の影響を評価することに成功した.さらに,数値解析においては,支配方程式でのエンタルピー拡散の考慮をするとともに,物性推算および素反応計算の高速化を実施し,燃焼組成が最小点火エネルギに及ぼす影響の数値解析に成功した.解析解を用いた点火モデルの開発までは至らなかったが,本研究により燃焼組成が火炎核の初期成長速度やMIEに及ぼす影響を解析的なモデルで計算する見込みが得られた.
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