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現在，運輸・発電分野におけるエネルギー利用の主力である火花点火エンジンの熱効率向上のために高過給・高圧縮比化がすすめられているが，高過給・高圧縮比化により異常燃焼が発生しやすくなることから，異常燃焼の現象解明および回避策の確立は熱効率向上に際して重要な課題となっている．申請者のこれまでの研究から副室点火方式による希薄燃焼により異常燃焼を回避できると同時に熱効率の向上を達成できる可能性があることがわかった．本研究の目的は，副室からのトーチ火炎による希薄燃焼技術の確立である．初年度は副室を備えた定容燃焼器を用いて主室の燃焼に及ぼす副室点火の影響に関してメタンを対象に体系的な考察を行った．昨年度は副室を備えたRCEM (急速圧縮膨張装置)を用いて主室の燃焼に及ぼす副室点火の影響に関して水素を添加したメタンを対象に体系的な考察を行った．本年度は昨年度に引き続きRCEM を用いて主室の燃焼に及ぼす副室点火の影響に関して水素添加量を増加させたメタンを対象に体系的な考察を行い，以下の結論を得た．
1.水素添加量を増加させることで着火遅れ時間は早期化し，主室内の火炎伝播も向上した．また，噴流速度も増加した．
2.噴口径を拡大することにより主室の着火性は向上した．また着火遅れ時間は早期化し，主室内の火炎伝播も向上した．
3.主室の着火性に及ぼす噴流速度の影響は，「水素添加による反応速度の影響」と，「噴口径による噴流速度の影響」が混在している．すなわち，水素添加量により噴流速度が増加した場合，副室・主室とも燃焼が促進し，噴流速度の増加および主室の着火性の向上が見られた．一方，墳口を小さくし噴流速度を増加させた場合，形成される乱れの影響により主室の着火が阻害され主室の着火性が悪化した．
結果として論文1報，学会発表4件を行った．
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