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2020 年度 実施状況報告書

一般化水素結合モデルに基づく強会合性流体の状態方程式:ISO国際標準式への展開

研究課題

研究課題/領域番号 20K04338
研究機関九州産業大学

研究代表者

赤坂 亮  九州産業大学, 理工学部, 教授 (60369121)

研究分担者 粥川 洋平  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50371034)
東 之弘  九州大学, カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所, 教授 (90183095)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード状態方程式 / 冷媒 / 水素結合 / 飽和蒸気圧 / 密度 / 地球温暖化
研究実績の概要

本研究課題の採択後に研究方針について研究分担者および協力者とあらためて協議し,当初対象冷媒としていたR32をR1234yf,R1233zd(E)およびR1336mzz(Z)に変更することとした.その理由は,R32は従来冷媒の中では地球温暖化係数(GWP)が小さいものの,経済産業省が掲げる削減目標を達成するには,さらにGWPが小さな新冷媒への転換が必要なためである.R32に対する市場の関心は本研究課題の申請時よりも薄れてきており,より注目を集めている上記3種類の新冷媒を本研究課題の対象とする.得られた状態方程式は,最終的にISO17584(冷媒物性)として国際標準化する.
2020年度は,これらの冷媒の水素結合を正しく表現できるモデルの検討を行うとともに,それを最適化するプログラムコードの開発を行った.当初R32に適用する予定であった関数形をこれらの冷媒に適合するよう修正を進めている.拡張性を高めるために,3種類の冷媒に対して共通の関数形を用いた.並行して,新冷媒に関する既存の実測値情報を収集し,現行の状態方程式との比較を行っている.比較の結果,整合性があると判明したデータのみを新たな状態方程式の開発に用いる.
研究分担者2名は,これらの冷媒の飽和蒸気圧,液密度および臨界点の測定に着手した.また,研究協力者には液相音速の測定を依頼した.開発の経過は2020年7月にオンライン開催されたIIR Rankine 2020 Conference - Advances in Cooling, Heating and Power Generationにて報告した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全体としておおむね順調に進展しており,2020年度末までに既存の実測値情報を大まかに再現できる状態方程式が完成している.達成度は90%程度である.進捗が一部遅れている事由として,以下の3点が挙げられる.
(1)「研究実績の概要」で述べたように,研究計画を一部修正し,対象冷媒を市場からの要望がより強い新冷媒に変更したため,当初予定していた関数形の修正が必要となった.
(2)それに応じて研究分担者および協力者の測定計画も変更となり,測定装置の調整や消耗品の交換等が別途必要となった.
(3)コロナ禍の影響により,研究用高純度サンプルの入手に時間を要した.

今後の研究の推進方策

2021年度中に,研究分担者および協力者に依頼した飽和蒸気圧,液密度,臨界点および液相音速の測定を終了する.得られた実測値を随時状態方程式の最適化に組み込み,最終的な関数形を確立させる.もし測定値の不確かさが大きく,最適化に支障を来す場合は再測定を依頼する.2021年度末までに状態方程式を完成させ,米国標準技術研究所(NIST)に評価を依頼する.2022年度はNISTが公開する熱物性データベースへの組み込み,国際会議での公表,論文の作成等を行う.

次年度使用額が生じた理由

参加予定であった欧州熱物性会議(ECTP2020)が延期となったことに加え,研究分担者との打ち合わせ会議も対面を避けてオンラインで行ったことから,2020年度分の旅費に余剰額が生じた.
2021年度に参加を予定していた国際冷媒物性会議(TPTPR2021)もオンライン開催がすでに決定していることから,旅費消化を2022年度に先送りすること,旅費の一部を物品費に振り替えること,等を予定している.国際会議の開催状況によっては,研究期間の延長も視野に入れている.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] 米国標準技術研究所(NIST)(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      米国標準技術研究所(NIST)
  • [国際共同研究] ルール大学ボーフム校(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ルール大学ボーフム校
  • [国際共同研究] パドヴァ大学/イタリア計量研究所(INRiM)/イタリア学術会議(ITC-CNR)(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      パドヴァ大学/イタリア計量研究所(INRiM)/イタリア学術会議(ITC-CNR)
  • [国際共同研究] 西安交通大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      西安交通大学
  • [雑誌論文] Measurements of PvT Properties, Vapor Pressures, Saturated Densities and Critical Parameters for trans-1,1,1,4,4,4-Hexafluoro-2-butene (R1336mzz(E))2021

    • 著者名/発表者名
      Naoya Sakoda, Yukihiro Higashi, Ryo Akasaka
    • 雑誌名

      Journal of Chemical and Engineering Data

      巻: 66 ページ: 734-739

    • DOI

      10.1021/acs.jced.0c00848

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Thermodynamic Properties of Trifluoroethene (R1123): (p, ρ, T) Behavior and Fundamental Equation of State2020

    • 著者名/発表者名
      Ryo Akasaka, Yukihiro Higashi, Naoya Sakoda, Sho. Fukuda, Eric W. Lemmon
    • 雑誌名

      International Journal of Refrigeration

      巻: 119 ページ: 457-467

    • DOI

      10.1016/j.ijrefrig.2020.07.011

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] New ISO 17584 Standard Formulations for cis-1,1,1,4,4,4-Hexafluorobutene [R1336mzz(Z)] and trans-1-Chloro-3,3,3-trifluoropropene [R1233zd(E)]2020

    • 著者名/発表者名
      Ryo Akasaka, Eric W. Lemmon
    • 学会等名
      IIR Rankine 2020 Conference - Advances in Cooling, Heating and Power Generation
    • 国際学会
  • [学会発表] REFPROPはこうして作られる2020

    • 著者名/発表者名
      赤坂亮
    • 学会等名
      2020年度日本冷凍空調学会年次大会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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