本研究では,宇宙空間などにおいて,軽量構造物を空間的に距離のある位置に配置するために,柔軟な紐の重さを利用して搬送するキャスティング搬送装置の開発を最終目標とし,キャスティングの原理が類似しているフライキャスティングに注目し,どのようなパラメータが飛距離に影響するのかを解明するとともに,搬送装置を試作することを目標をする. 近年,宇宙開発が注目されている中,搬送装置が重要視されることが考えられる.フライフィッシングとはフライラインの先端に取り付けられた疑似餌となるフライを目標の位置に配置する動作である.フライは軽量であることから,フライの重さを利用して飛ばすことができないため,ラインの重さを利用して飛ばすという,他の釣りにおけるキャスティングとは異なる方法を採用している.本研究では,腕とロッドとフライラインから成る系の総合的な動的挙動を解明し,解析モデルを構築した.そして,キャスティング実験結果との比較により解析モデルの妥当性を検証するとともに,飛距離やコントロール性を向上するパラメータを解明し,キャスティング搬送装置を作製した.このキャスティング装置は人間の腕を模擬したもので,2リンクの場合は前腕と手首,3リンクの場合は上腕・前腕・手首とした,キャスティングは後ろから前方に投げるフォワードキャストとし,リーダ,ティペット,フライは設置していない. この研究の成果として,「フライラインの力学 ‐2リンクキャスティング装置を用いたフォワードキャスト」および「フライラインの力学(3リンクキャスティング装置を用いたフォワードキャスト)」を投稿した.
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