研究課題/領域番号 |
20K04350
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
浦久保 孝光 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (10335424)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 最適運動計画 / 動力学解析 |
研究実績の概要 |
2021年度は、2020年度に引き続いて、冗長自由度を有する多リンクロボットの押し動作について、力学解析および最適運動計画を行った。具体的に、4リンクからなる脚型ロボットが水平面内で壁を押す(蹴り出す)場合を考え、消費トルクが一定である条件の下で、壁から離れるときの運動量を最大化するロボット動作を数値最適化によって求めた。このとき、最適化によって得られた動作においては、膝関節がほぼ伸びきった特異姿勢に近い姿勢を用いている。動作中の各時刻のロボット姿勢における動的可操作性を調べ、特異姿勢に近い姿勢を用いることで、一定の大きさの関節トルクの下でも壁を押す方向に大きな力を発生可能であることを明らかにした。 さらに、同様な押し動作として、微小重力下の宇宙ロボットの跳躍動作を数値シミュレーションによって調べた。上述の脚型ロボットと同様な関節自由度、リンク長のロボットを考えるが、関節の回転角度に対する制約を設けず、広い範囲で回転可能であると想定した場合、最適運動計画の結果、足リンクを大きく回転させて、足先を地面に叩き付け、その際の衝撃力によって跳躍することによって大きな運動量が得られることが分かった。大きな衝撃力はハードウェアの損傷などを招く恐れがあるが、弾性要素を組み込むことでその大きさは低減可能であり、微小重力下の新しい跳躍動作の可能性を示す結果と言える。 4リンクからなるロボットの水平面内での押し動作に関する最適運動計画および力学解析結果に関しては国内会議において1件の発表を行い、微小重量下での宇宙ロボットの最適跳躍動作に関しては国際会議発表1件および学術誌論文発表1件を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、4リンクからなる脚型ロボットの押し動作において、特異姿勢付近の姿勢に利点があることを、動的可操作性による力学解析および最適運動計画によって確認できた。また、最適運動計画においては、研究協力者の協力の下、差分進化法を用いて従来よりも広い解空間での探索を行うことができた。実験機を用いた制御実験には至っていないが、一方で、当初計画では想定していなかった、微小重力下での宇宙ロボットの跳躍動作について新たな提案を行うことができた。これらの点から、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、オンライン会議を活用して研究協力者との連絡を頻繁に行い、研究を推進する。また、最適化計算に多くの時間がかかるため、高性能計算機を用いて効率的な計算を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画になかった宇宙ロボットの最適運動計画について計算および解析を進めた結果、実験実施時期が次年度となり、次年度使用額が生じた。この分は、準備を進める次年度実験において使用する計画である。
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