2023年度は、2022年度に引き続き、2リンクロボットアームによって重量物を水平面内で一定距離移動させるタスクを考え、2つのリンクの長さの比を変えることによる動的可操作性の変化を理論的に解析した。これにより、アームの前腕が上腕に比べて長い場合に、ある条件の下で特異姿勢付近の動的可操作性がある方向に大きくなることが分かった。この条件は多くの2リンクアームにおいて満たされると考えられ、前腕が上腕に比べて長い方が上記のようなダイナミックなタスクを達成する上で有利であることが示唆された。上記のタスクに対して、リンク長さ等を変えた最適動作計画を繰り返し行い、得られた解析結果と整合した結果となることを確認した。 また、冗長自由度を有する4リンクロボットの押し動作については、研究協力者とともに、2022年度に改修した実験機によって、足先を壁に叩き付けることで得られる衝撃力を利用した跳躍動作の実現可能性を調べた。実際のロボットでは、減速機による摩擦損失などの影響があるが、その場合でも数値シミュレーションで見られたように、衝撃力によって運動量が得られ、跳躍動作が得られることが確認された。 2リンクアームのリンク長さを変えた場合の最適運動計画の結果について国際会議発表1件を行い、長さの違いに対する理論解析の結果について国内会議発表1件を行った。また、4リンクロボットの衝撃力を利用した跳躍動作の実験検証については国内会議発表1件を行った。
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