本研究では音波の波長より小さい粒状体や粉体に着眼した騒音制御を提案している。具体的には、気体分子のように振舞う軽量で微細な粉体を用いた吸音方法、粒状体やフレーク状のバイオマス材料の吸音に関する数理モデルを明らかにした。以下、最終年度に行った研究内容を述べる。 軽量な粉体の縦振動による低周波数域の吸音に関して、数理モデルによる吸音率の理論的な算出の際に粉体ごとの実験値が必要となる問題を、実験式を導出することにより改善する試みを行った。この結果について、国際学会にて1件の口頭発表を行った(研究発表の欄に記載)。 さらに、軽い粉体において縦振動による吸音が起こる際に、粉体に求められる条件について、様々なパラメータを用いて判定する試みを行った。この結果について、学会にて1件の口頭発表を行った(研究発表の欄に記載)。 また、粒状体の充填構造における吸音率に関する数理モデルと実験に関しては、六方最密充填および面心立方格子について、迷路度の測定結果を導入しながら明らかにした。また、粒径数mm程度の硬い粒状体では超音波法による迷路度の測定が難しいが、これについても装置を構築し測定を行うことができた。これらの結果を集約し学術雑誌に論文として1編を発表した(研究発表の欄に記載)。 さらに、ランダム充填された粒状体の吸音率の理論的推定を行った。これについては、幾何学的な数理モデルに代えて、マイクロCTスキャンデータに基づいた幾何学情報を計算に導入して解決した。これらの結果を集約し学術雑誌に論文として1編を発表した(研究発表の欄に記載)。 そして、上述の推定法を、ランダム充填されたフレーク状のバイオマス材料へ展開した研究を行った。具体的には、もみ殻とそば殻の吸音特性に関して、マイクロCTスキャンデータに基づく理論的推定と実験が行われた。この結果について、学会にて1件の口頭発表を行った(研究発表の欄に記載)。
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