| 研究課題/領域番号 |
20K04361
|
|---|
| 研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
|---|
研究代表者 |
内山 直樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10273327)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
| キーワード | 制御工学 |
|---|
| 研究実績の概要 |
適応制御法は制御器パラメータの調整機構を有し，例えば産業機械の制御性能向上を目的とした応用が期待されている。報告者は，これまでの研究において，産業機械を対象としたロバスト適応制御法を提案している。また、世界中の工場で昼夜を問わず利用される産業機械においては，環境・省資源問題のために省エネルギー化も重要な課題である。本研究では，適応制御法による省エネルギー効果について解明することを第一の目的としている。さらに，省エネルギー効果を向上できる適応制御系の構成法の提案も目的とする。
２０２０年度は，本研究目的のために，現有している産業機械装置の計測制御系（ハードウェア）の改良を行った。また，１パラメータのみを調整する適応制御系を対象に省エネルギー効果について基礎的な理論検討を行い，知見を得た。この応用として，産業機械のフィードフォワード制御系の一構成法を提案し，所要時間と省エネルギー性の両立が可能となった。また，実験を実施し，所要時間および省エネルギー性の双方において，６０％以上の低減を達成し，有効性を示した。
さらに複数の調整パラメータを有する適応制御系の新たな構成法を提案し，有効性をシミュレーションと実験により確認した。従来の構成に比べて目標動作追従精度の６０％以上の改善を確認した。滑らかな動作が得られており省エネルギー効果が期待できるが，詳細については，現在調査を継続している。
以上の成果の一部について，国際ジャーナル論文と国際会議論文において公表した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
２０２０年度の研究では，１パラメータのみを調整する適応制御系を対象に省エネルギー効果について基礎的な理論検討を行うことを目的としたが，省エネルギー性を含めた複数の制御性能向上に関する知見を得た。省エネルギー効果の理由については，現在解析を継続している。この応用として，産業機械のフィードフォワード制御系の一構成法を提案し，所要時間と省エネルギー性の両立が可能となった。また，実験を実施し，所要時間および省エネルギー性の双方において，６０％以上の低減を達成し，有効性を示した。
また機械系を対象に，複数の調整パラメータを有する適応制御系の新たな構成法を提案し，シミュレーションと実験により有効性を確認した。制御出力値の拡張誤差信号を用いることで，従来の構成では問題があった制御対象の特性を改善でき，目標動作追従精度を大きく向上できることを示した。省エネルギー効果については，現在調査を継続している。
さらに，本研究目的のために，現有している産業機械装置の計測制御系（ハードウェア）の改良を行った。
以上の成果の一部について，国際ジャーナル論文と国際会議論文において公表した。
|
| 今後の研究の推進方策 |
１パラメータのみを調整する適応制御系を対象に省エネルギー効果について基礎的な理論検討を行い，この応用として，産業機械のフィードフォワード制御系の一構成法を提案し，所要時間と省エネルギー性の両立を可能としたが，この方法について動作精度を考慮したものに拡張する。また，この有効性を実験により確認する。
さらに，複数の調整パラメータを有する適応制御系の新たな構成法を提案し，従来のものに比べて目標動作追従精度の改善を確認したが，省エネルギー効果についても検討を進め，有効性を実験により確認する。
以上の結果を踏まえ，省エネルギー性を考慮した適応制御系の構成について理論検討する。さらに，新たな構成が得られた場合には，本研究において改良した産業機械装置を用いて有効性を確認する。
実際の産業機械に応用する場合には，フィードバック制御系の変更は一般に困難なため，目標動作軌道を適応的に修正する学習制御系としての実現について理論検討を行う。この学習制御系についても，実験により有効性を確認する。
以上の成果について，国際ジャーナル論文と国際会議論文において公表する。
|
