研究課題/領域番号 |
20K04361
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
内山 直樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10273327)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 制御工学 / 省エネルギー化 / 産業機械 |
研究実績の概要 |
適応制御法は制御器パラメータの調整機構を有し、例えば産業機械の制御性能向上を目的とした応用が期待されている。世界中の工場で昼夜を問わず利用される産業機械においては,環境・省資源問題のために省エネルギー化も重要な課題である。本研究では,適応制御法による省エネルギー効果について解明することを第一の目的としている。さらに,省エネルギー効果を向上できる適応制御系の構成法の提案も目的とする。2020年度は,1パラメータのみを調整する適応制御系を対象に省エネルギー効果について基礎的な理論検討を行い,知見を得た。2021年度は複数パラメータを調整する方法を検討した。動作時の加々速度を抑制することにより省エネルギー化が実現できると考え,これを考慮した動作軌道生成法を提案後,実験により有効性を確認した。さらに,単純適応制御系の設計法を提案後,前年度の提案法との比較実験において目標動作への追従誤差を約10%低減できた。 2022年度は,2020年度に提案した方法を産業機械の領域被覆計画に応用する手法を提案後,実験により既存の加々速度制限を考慮した方法に比べ,動作時間を約14%抑えつつ,エネルギー消費を約4%低減できることを確認した。追従誤差についても,約15%低減できた。さらに前年度提案した単純適応制御系の設計法を高次の拡張誤差信号を用いる方法に展開後,実験検証を行い,前年度の方法と同程度の位置追従性能において比較した結果,消費エネルギーを約8%低減できた。 以上の成果の一部について,国際ジャーナル論文と国際会議論文において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の研究では,1パラメータのみを調整する適応制御系を対象に省エネルギー効果について基礎的な理論検討を行うことを目的としたが,省エネルギー性を含めた複数の制御性能向上に関する知見を得た。また,実験を実施し,所要時間および省エネルギー性の双方において,有効性を示した。2021年度は,動作時の加々速度の低減が省エネルギー化に有効と考え,これを抑制する方法の提案を行い,実験により追従誤差と誤差変動双方の低減を確認した。2022年度は,2020年度に提案した手法を産業機械の領域被覆計画に拡張し,実験検証の結果,所要時間,省エネルギー性,位置追従性のいずれにおいても,既存の方法に比較して優れた結果を示した。また,2021年度に提案した単純適応制御法を拡張し,実験により,省エネルギー性,位置追従性のいずれにおいても効果を確認した。 以上の成果の一部について,国際ジャーナル論文と国際会議論文において公表した。
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今後の研究の推進方策 |
適応制御系を対象に省エネルギー効果について基礎的な理論検討を行い,この応用として,産業機械のフィードフォワード制御系の構成法および領域被覆計画への応用法を提案し,所要時間,省エネルギー性,位置追従性能の向上が可能であることを確認したが,今後は,省エネルギー効果の理由についての解析を継続する。 さらに単純適応制御系の新たな構成法を提案し,従来の構成に比べ性能向上を実現したが,今後は産業機械の動作精度の向上に有効な輪郭制御法との統合を検討し,実験検証を行う。 以上の成果について,国際ジャーナル論文と国際会議論文において公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の出勤自粛などにより実施が不十分な項目を,より精緻に達成するため,追加実験の実施,学会参加,論文投稿に使用する。
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