研究課題/領域番号 |
20K04366
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
園部 元康 高知工科大学, システム工学群, 准教授 (50455169)
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研究分担者 |
池内 昌彦 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (00372730)
永野 靖典 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (30380372)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制御戦略 / 体性感覚 / 低周波揺動 |
研究実績の概要 |
一定周波数での支持面揺動を活用した身体機能別の評価を実現するために,2020年度は主に基礎的な運動特性の理解,実験装置の製作,対象となる症例の選定に取り組んだ. 運動特性を理解するために,0.4 Hz,0.6Hz, 0.8 Hz, 1.2 Hzの4つの周波数で健常者に対する実験を行った.その結果,(1)周波数による関節戦略の違いとして,0.8Hz以上では股関節戦略を含む運動特性になり,0.6 Hz以下では足関節戦略が支配的であることを確認した.これらの区別が生じる理由は2つの関節戦略の位相特性により説明できる.(2)足関節戦略の特性として,0.4Hz以下では,足関節戦略の特性を大きく変更して,床からみた重心の相対変位を抑制していることを確認した.一方で,0.6,0.8,1.2Hzでは足関節戦略の特性に変化はなく,周波数による調整はなされていなかった.(3)機構モデルとして,0.7Hz以下は1リンクモデル,0.7Hz以上は2リンクモデルを使用できることを確認した.上記の内容について,学術誌に投稿した(機械学会論文集に2021年6月掲載決定). また,揺動実験装置についてもハードウエア(機構と電子回路)の設計を行った.持ち運び可能なシステムとするために600mm×700mm,質量30kgとし,応答計測のために両足の下に2台の6軸力センサと3台の慣性センサ取り付けられる仕様とした.200WのDCモータにより1方向に矢状面の水平揺動が可能である.ひきつづき,組み込みソフトウエアとPCの情報処理ソフトウエアの開発を行っている. 大学病院では,本手法による検査が効果的な症例を検討し,表在感覚および深部感覚に影響が生じやすい糖尿病患者および頚髄症患者を対象とすることにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は運動の理論的な理解に焦点を当てており,健常者のデータ解析から運動の理解は順調に進んだ.ターゲットとなる感覚器を体性感覚とし,0.4Hz以下で大振幅とするように揺動方法を絞ることができた.この揺動は製作している実験装置にも適しており,十分に実用性がある. 一方,装置の製作については新型コロナウイルス対策による出遅れの影響が生じたが,ソフトウエア開発など順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,0.4Hz以下での大振幅(50mm程度)での(1)健常者による違いの検出,(2)実験機の完成,(3)患者のデータ計測と解析を進めていく. 健常者による違いの検出では,床からの相対的な揺れの大きさと足関節トルクの関係の個人差を調べ,閉眼での姿勢維持能力と比較する.実験機については,ソフトウエア開発を完了し,フォースプレートによる重心の推定性能を評価する.実験機の完成後は患者のデータ計測に移行し,糖尿病と頚髄症患者からデータを取得していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により旅費の使用がなかったため. また,大学病院での予備実験も難しい状況で,その分の謝金も発生しなかった.
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