研究課題/領域番号 |
20K04370
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
中島 明 南山大学, 理工学部, 教授 (70377836)
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研究分担者 |
坂本 登 南山大学, 理工学部, 教授 (00283416)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ボール打ち上げ / バックラッシュ / 倒立振子 / 非線形最適制御 |
研究実績の概要 |
第1の結果として,非拘束マニピュレーションの課題の1つである卓球におけるラリーの第1段階として,ボールの打ち上げタスクの安定性解析と打ち上げ安定化を達成した.具体的には,まず,2次元空間におけるラケットとボールの衝突モデリングを行った.次にボールの落下運動に同期したミラー則(Mirror Law)によるボール打ち上げの繰り返しと追従制御を適用した.これにより常に打ち上げが可能である仮定の下,ラケットの打ち上げ速度の比例係数と角度を入力としたボール状態に関する離散繊維方程式を導き,ラケットの目標軌道への追従誤差に起因した外乱に関して1型のシステムであることを安定性解析により示した.得られた解析結果より,離散LQサーボ制御系を設計し,2次元3関節マニピュレータにラケットを取り付けた打ち上げタスクにおいいて,追従誤差などの外乱があっても,目標のボール高さと打ち上げ位置に定常偏差なく安定化されることを数値シミュレーションにより示した. 第2の結果として,衝突現象による不連続性の典型例であるバックラッシュに関して,非整数階微分によるPID制御器のトルク制御問題を扱い,振動抑制について検討するとともに,実機検証が可能な実験機開発を行った. 第3の結果として,非拘束マニピュレーションの特徴の1つである劣駆動系として倒立振子を扱い,安定多様体法に基づく非線形最適制御により,様々な回数での振り上げ制御を達成する非一意解について,エネルギーの観点から考察を行った.得られた結論として,振り上げ回数が多いほど省エネルギーであることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究での非拘束マニピュレーションの課題として挙げているコンタクトジャグリング,卓球ラリー,デビルスティックの実現に向けて,これまでに,コンタクトジャグリング,ボールの打ち上げ,劣駆動系に関するモデリング,安定性解析,制御系設計を扱ってきた.コンタクトジャグリングについては理論面はほぼ完成しており,実験機による検証を残すのみである.ボールの打ち上げは卓球ラリーを簡単化した問題であり,ボール打ち上げという離散現象を含むタスクの安定化理論について一定の成果を得ている.残る課題はデビルスティックであるが,打ち上げタスクの離散系制御器設計,および劣駆動系での最適制御の結果を基礎とすることで,タスク実現は可能であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で述べた通り,現在までに,接触を活用したコンタクトジャグリングにおける実用性を考慮したカスケード型制御器設計,衝突という離散状態を含むボール打ち上げタスクにおける離散制御器設計,および劣駆動系に関する最適制御系設計に関する知見を得ている.今後は,コンタクトジャグリングの実験機検証,ボールラリータスクに関するモデリングと複数の離散入力を考慮した安定性解析と制御器設計,およびデビルスティック関する接触と衝突現象を考慮したモデリングと制御器設計を行う予定である.具体的には,ボールラリーでは打ち上げタスクのモデリングと安定性解析を基礎とする予定である.またデビルスティックは,コンタクトジャグリングでの接触状態およびボール打ち上げタスクのモデリングを利用して,さらにボールラリーの制御方策を適用できるか試みていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者に関して生じた差額は344円と非常に少額であることから,ほぼ研究計画通りに使用しており,わずかな端数が次年度に繰り込まれているだけである. 研究分担者については15万円の繰越が生じているが,本来予定していた研究出張などがコロナ禍により全て中止もしくはオンラインとなったためである.次年度はコロナ禍の状況改善が見込まれるため,積極的に研究出張による発表と研究調査を進める予定である.
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