研究課題/領域番号 |
20K04376
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
菅原 雄介 東京工業大学, 工学院, 准教授 (60373031)
|
研究分担者 |
岡本 淳 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10409683)
遠藤 央 東京工業大学, 工学院, 特任准教授 (50547825)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 人力ロボティクス / 人間機械協調 / ロボット機構 |
研究実績の概要 |
本研究では,人力協働ロボットの実現を目標とし,多自由度化と高精度化のための機構と制御系の開発,操作者の運動負荷適正化手法の開発,および医療福祉応用のための安全化技術の開発を行い,これらを統合することで実作業に適用できる人力協働ロボットを開発することを目的としている.本年度は,多自由度化と高精度化のための機構と制御系の開発,操作者の運動負荷適正化手法の開発,医療福祉応用のための安全化技術の開発を行い,これらに基づき多自由度人力協働ロボット統合モデルの開発を開始する計画であった. これに対する実績を以下に項目ごとに示す: A. 多自由度化と高精度化のための機構と制御系の開発 これまで開発を行ってきた足漕ぎ式3自由度人力ロボットについて,特に人力感応式パワー遮断機構のモデリングとこれに基づく最適化を行った. B. 操作者の運動負荷適正化手法の開発 足漕ぎ式の人力ロボットを想定し開発した操作者の運動状況を計測可能なペダルについて,その性能評価を実施した.また,開発したペダルにより計測される情報に基づき,従来開発した人間の脚部を含むモデルを利用し操作者の動力を推定する手法を用い,運動負荷を推定できることを確認した. C. 医療福祉応用のための安全化技術の開発 医療における人力協働ロボット実用化の意義について,実例を元に整理した.また、多自由度受動機構の操作性定式化の必要性について考察した。また,多自由度受動機構の操作性の定式化と最適設計の手法について検討した.具体的には仮想質量や摩擦力の発生する負の加速度の影響を最小化するコンフィギュレーションなどについて考察を行った. D. 多自由度人力協働ロボット統合モデルの開発 上記の知見に基づき,統合モデルのコンセプト設計を開始した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多自由度化と高精度化のための機構と制御系の開発については,特に人力感応式パワー遮断機構について,モデリングと定式化をほぼ完了しシミュレーションによる検討を開始している. 操作者の運動負荷適正化手法の開発については,これまでに開発,改良した操作者の運動状況を推定するペダルを用い,改良前後での装置の計測結果を比較し性能を評価した.さらに従来開発したモデルベースの動力推定手法を拡張し,操作者の運動負荷が推定可能であることを確認した. 医療福祉応用のための安全化技術の開発については,集束超音波治療トランスデューサの保持装置としての多自由度ロボットを想定し,現状の機能安全型協働ロボットの課題を抽出した.また,多自由度受動機構について,実際に医療現場等で使用されているケースを集め,操作性の課題について整理した.また多自由度受動機構の操作性については,定式化に基づく一応の設計法のケーススタディを行っている. 多自由度人力協働ロボット統合モデルの開発についても統合モデルのコンセプト設計を開始している. 以上の状況は,おおむね当初の計画通りである.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究についても予定通りに進めてゆく. 操作者の運動負荷適正化手法の開発については,ここまでの研究により得られた操作者の運動負荷状況を用い操作者のモデルを構築する.また,ロボットへの動力入力系,および,運動の出力系をモデル化し,シミュレーションを作成する.シミュレーションを用い,継続的に運動可能なペダルの重さに制御できる動力制御アルゴリズムを構築する. 多自由度人力協働ロボット統合モデルの開発については,引き続きこれまで各項目で得られた知見とコンセプトから詳細設計と試作,動作実験を進める. またこれに基づき,実作業による評価を行う,
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究についても昨年度と同様,主として現有の部品を多く用いて試作を行ったため,消耗品の購入を大きく節約することができている.また新型コロナウイルス感染拡大防止のため予定していた研究打ち合わせをすべてオンラインで行ったため,旅費を使用しなかった. これらについてはR4年度に引き続き行う試作機の改良のための加工部品,機械部品,制御システム部品の購入に使用する予定である.
|