研究課題/領域番号 |
20K04386
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
目黒 淳一 名城大学, 理工学部, 准教授 (30537808)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 衛星測位 / 位置推定 / マルチパス |
研究実績の概要 |
2022年度において,任意の環境での衛星測位性能の予測を目的とし,三次元地図情報を活用した測位誤差の予測の検討を実施した.GNSSによる高精度な位置推定では,マルチパスによる測位性能の劣化が問題となっている.その発生要因や確率は専門家の感覚に依存しており,定量化が困難である.また,不可視衛星からは大きな誤差が発生することが多い.一方.不可視衛星を判定し,使用する衛星を決定する手法には,カメラや3Dマップの活用,電波伝搬をシミュレートする方法がある.しかし,これらの手法はカメラの正確な位置姿勢や,環境による遮蔽物の影響の正確なモデル化が必要であるなどの問題がある.不可視衛星を棄却すると測位誤差は小さくなることが知られているが,都市部環境下で同様に棄却すると,使用衛星数が大幅に減少し測位計算ができない問題もある.さらに,従来手法では実測のマルチパス信号の要因解析がされていないため,従来手法は衛星の可視/不可視といった状況証拠のみで誤差を含む衛星を判定しているに過ぎない.そこで本研究では,マルチパスの発生要因を解析可能にするため,二重差で疑似距離誤差を解析できるようにし,不可視衛星に注目して誤差の解析を行っている.具体的には,二重差を利用して擬似距離のマルチパス誤差を導出し,環境情報と併せてマルチパスの発生の程度や測位誤差をモデル化することで,衛星測位性能の予測を可能にする手法を提案している.評価試験では,実測データとほぼ同じ場所に予測したFix解が存在し,周囲環境を正しく考慮して衛星測位性能を予測できる可能性を確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的は測位誤差の予測である.本年度の成果により,実環境で発生している信号誤差と測位誤差の相関を確認し,シミュレーション環境で構築したモデルにより信号誤差を生成することで,測位誤差を予測可能な可能性を確認することができた.そのため,おおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は信号誤差の予測精度を向上させると共に,三次元点群地図から抽出できる測位誤差に影響する特徴量の検討を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた学会参加が状況により国内となっため,次年度以降への旅費/参加費として繰り越しを行う.
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