研究課題
本年度は,具体的なロボットの制御しやすさの指標に関するロボット設計問題の課題として,球形トレッドミルのモータ配置問題について取り組んだ.球形トレッドミルは,2020年度でも考察の対象としたロボットであり,トレッドミル(ルームランナー)の平面方向への拡張である.球形トレッドミルは三つの全方位車輪付きモータから構成され,これら全方位車輪の上に置かれた球の回転を制御することで,並進二次元および回転一次元方向のトレッドミルを実現する.これにより,トレッドミル上の動物の定点観測を可能にする.球形トレッドミルの操作性は,モータの配置(より正確には,三つの全方位車輪の位置および角度)に極めて大きく依存する.既にある種の最適配置は明らかにされているものの,その最適配置では高速動作時に大きな振動を発生する問題があった.本研究課題では2020年度に,操作性を低減させずに,振動を大きく低減するモータ配置構造が存在することを明らかにしていた.2022年度は,この結果を精査し,振動を最も低減するモータ配置を実験により明らかにした.また,この過程で,高速動作時の振動には二種類の振動が存在することを確認した.一つは鉛直方向の振動であり,もう一つは水平方向の振動である.最適なモータ配置から鉛直方向の振動を増加する設計パラメータと,水平方向への振動を増加する設計パラメータの存在を明らかにした.さらに,モータの最適配置を含むこれらの特性が,ロボットの部材の材料特性に影響されることも明らかにした.
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
SICE Journal of Control, Measurement, and System Integration
巻: 15 ページ: 99~108
10.1080/18824889.2022.2097402