研究課題/領域番号 |
20K04398
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
永野 光 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70758127)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハプティクス |
研究実績の概要 |
本研究では,皮膚変形・皮膚振動の同時計測に基づく時間・空間的に高解像度な装着型触覚ディスプレイの構築を目的とする.なぞりや滑りに伴って発生する皮膚変形(高空間・低時間解像度)と皮膚振動(低空間・高時間解像度)は知覚において相補的に利用される情報であり,それらを同時に再現可能な触覚ディスプレイを目指し,(1)皮膚変形と皮膚振動の同時計測とモデル化,(2)吸引圧刺激(皮膚変形)と高周波振動刺激(皮膚振動)の協調提示ディスプレイおよび手法の創造,を達成する.また,(3)協調提示が作業・動作の安定性(力・位置追従精度など)に及ぼす影響の実証評価,への展開を目指す. 今年度は,素材をなぞる際に指先皮膚で発生する高周波振動,なぞり時の指先速度,素材と指の間での接線力,法線力を同時計測可能な実験システムを構築した.計測システムは,指先に装着する小型の加速度センサ,3自由度力覚センサ,モーションキャプチャで構成される. そして,構築した計測システムを用いて,摩擦係数の異なる複数の素材を対象とした計測実験を実施した. また,次年度での構築を目指す協調提示触覚ディスプレイで必要となる振動生成手法の検討を行った.具体的には,なぞりに伴うスティックスリップ皮膚振動を表現する特徴量を,摩擦係数,なぞり速度,押付力から推定するモデルを構築した.最初のモデルとして単純な重回帰モデルによる評価を実施したが,ある程度高い精度でのモデル化が実現しているが,モデルの高精度に向けた知見も得られており,次年度以降でのモデル化の改良が期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は主に,研究課題の基礎となる計測システムを構築を実施した.素材をなぞる際に指先皮膚で発生する高周波振動,なぞり時の指先速度,素材と指の間での接線力,法線力を同時計測可能な実験システムを構築した.計測システムは,指先に装着する小型の加速度センサ,3自由度力覚センサ,モーションキャプチャで構成される.当初は,なぞり速度の計測は必要ではないと想定していたが,計測される皮膚振動への影響が考えられたため,モーションキャプチャを用いたなぞり時の指先動作計測を組み込んだシステムへの改良を実施した.計測システムの構成に変更が加わったものの,当初の予定通り,年度内に計測システムの構築と有効性検証が完了した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度では,皮膚変形と皮膚振動の協調的な提示を実現する触覚ディスプレイの構築を目指す.協調提示触覚ディスプレイで必要となる振動生成手法の検討に関して今年度開始できたため,次年度は,ハードウェアの構築から始まり,統合した触覚ディスプレイの構築よ有効性の検証を行う予定である.
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