本研究課題では,3D LIDARセンサから取得される疎かつ偏在する3次元点群から観測された環境が持つ本来の構造を正確に反映するような密かつ一様な3次元点群を生成する(これをアップサンプリングと呼ぶ)手法の完成を目指している.R4年度は,この手法の要素技術となる次の2つについて検討した. 1.3D LIDARデータをアップサンプリングして補完する手法. 2.補完した結果の評価指標. 1.疎な三次元点群データからより密な三次元点群データを生成する手法として,性能が高いと評される従来手法としてPU-GANという手法があるが,PU-GANのself-attention unitにおける計算量が膨大であるため,大規模な三次元点群データを処理するのが困難である.そのため,三次元点群データから有用な局所特徴を抽出するために,RandLA-Netのネットワーク構造内で用いられているRandam SamplingとLocal Feature Aggregationというネットワーク構造を利用して,GANの生成器を作成して大規模な三次元点群を扱えるネットワーク構造を考案した. 2.1.で考案したネットワーク構造を学習させる際には,補完の善し悪しを表す評価指標が必要であるが,これまで利用されてきたChamfer Distanceでは,入力点群の隙間をどれだけ埋めることができたか,補完した点が入力点群と密接しすぎてしまってないかといったような状況を表することはできない.そこで,Mechanical scanningタイプのLIDARから取得された3次元点群の補完結果の善し悪しを評価するための評価基準を新たに考案し,これを学習時の損失関数と利用した. 1.2についての研究成果を,国内の査読付き学会で発表し,その後,国内の学術雑誌に投稿した.
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