研究課題/領域番号 |
20K04406
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
王 忠奎 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 准教授 (50609873)
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研究分担者 |
川村 貞夫 立命館大学, 理工学部, 教授 (20186141)
平井 慎一 立命館大学, 理工学部, 教授 (90212167)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 食品ハンドリング / 食品計測 / 3D形状 / 摩擦係数 / ロボットエンドエフェクタ |
研究実績の概要 |
2021年度は、食品粘弾性計測、3D形状の計測、食品サンプル標準化、カキフライのハンドリング用ロボットエンドエフェクタの開発、キュウリ自動箱詰め用ロボットエンドエフェクタの開発に関する研究を行ってきた。具体的な実績は下記の通りである。 1)2020年度に開発した食品粘弾性と摩擦計測装置を用いて、5種類天ぷらの計測実験を行い、粘弾性パラメータと摩擦係数を推定した。さらに、異なる把持力と把持速度での実験データを分析し、把持力と把持速度の影響をまとめた。2)様々な食品をモデリングするため、食品3D形状を計測した。高精度3Dスキャナーを用いて、食品3D形状のポイントクラウドデータを蓄積している。日本ロボット学会の食品サンプルワーキンググループに参加し、食品サンプルの標準化と製作を検討している。3)カキフライの高速箱詰め用ロボットエンドエフェクタを開発した。液体シリコン3Dプリンタを用いて、カキフライを包み込むようなロボットエンドエフェクタを製作し、パラレルロボットでの高速運搬実験を行った。さらに、システムインテグレータの協力を得て、実際の導入状況を模擬して、実証実験を行った。ロボット加速度や運動パターンを調整することによって、約65個/分のタクトを実現できた。4)複数本キュウリを同時に箱詰め用ロボットエンドエフェクタを改良し、北海道選果場で3回の実証実験を行った。その後、実際の現場導入に向けて、エンドエフェクタを仕上げした。今年度中に実際の現場運用を行う予定である。 これらの研究成果を基づいて、論文誌論文6本、国際会議論文3本、国際会議口頭発表5回、国内学会発表11回の研究実績があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究内容は主に食品のモデリング、粘弾性や摩擦の計測、ロボットエンドエフェクタの開発の三つを想定していった。近年、工場DXやデジタルツインに関心が高くなり、食品のモデリングと計測の重要性をさらに感じ、様々な食品の3D形状の計測も視野に入れた。3D形状と食品粘弾性モデリングを融合することで、食品ハンドリング作業のデジタルツインを構築することができるので、この方向に少し進めている。また、日本ロボット学会の食品標準化ワーキンググループに参加し、食品サンプルの製作方法などを検討している。現在計測している食品の粘弾性と3D形状データを活用することができ、更なる発展が期待できるので、食品サンプルに関する研究も引き続き進めたい。食品ハンドリングの本の執筆も計画している。以上のことによって、当初の計画以上に進展していることを判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究計画は下記の通りと考えている。 1.食品の粘弾性、3D形状を引き続き計測する。計測したデータに基づいてデータベースを構築し、公開することを考えている。食品シミュレーション、食品エンドエフェクタの開発、食品ハンドリングDXを行う研究者が自由に参考できるようにしたい。 2.様々な食品の特性を計測した上で、特性の近い食品をグルーピングし、ロボットエンドエフェクタと対応付ける。この対応付けを整理し、食品機械のユーザや食品分野のシステムインテグレータの皆さんに提供したい。 3.開発しているカキフライ把持用エンドエフェクタとキュウリ箱詰め用エンドエフェクタの実証実験と現場導入を推進する。カキフライ把持用ハンドについて、ハンドとカキフライの両方をモデル化し、シミュレーション上でハンドの最適構造を求めたい。 4.食品標準化ワーキンググループの活動を継続し、計測した食品特性と3D形状データを活用したい。グループメンバーと共同で、食品ハンドリングコンテストを計画したい。食品ハンドリングの本を執筆する予定もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は新型コロナ感染症の影響で出張費用が大幅に激減したことである。使用計画について、今年度の出張や論文投稿料などとして利用したいと考えている。
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