研究課題/領域番号 |
20K04410
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
田中 正志 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 講師 (40583985)
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研究分担者 |
柳平 丈志 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10323213)
乾 義尚 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (70168425)
平山 智士 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (70759274)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リチウムイオン電池 / 正極活物質 / リサイクルプロセス / 大気圧高電圧パルス放電 |
研究実績の概要 |
廃棄リチウムイオン電池を大気圧高電圧パルス放電でスパッタリングして正極活物質(遷移金属等)を回収するリサイクルプロセスを新たに提案・検討する。このため,2020年度は各種スパッタガス中で,パルス電圧波高値が50kV~100kV程度でパルス幅が10ns~50ns程度の大気圧高電圧パルス放電を発生させて,リチウムイオン電池正極活物質をスパッタできるような実験装置を構築した。 装置は電源部,絶縁油の中に設置するマルクス回路,純水中に設置するパルスフォーミングラインと電極のスパッタ流路部の3つからなる。 電源部に関しては,計画段階では100V系統電圧からネオントランスを利用して昇圧していく予定であった。しかし,茨城大学工学部の柳平の研究室に200V3三相電圧から40kV程度を出力できる電源装置があったので,それとマルクス回路を組み合わせて電源部とマルクス回路を作成した。 パルスフォーミングラインに関しては計画段階ではパルスフォーミングラインは純水中に2枚の銅板で作成する予定であったが,腐食なども考えてステンレス板で作成した。なおパルス幅が10ns~50ns程度となるようにステンレス板の長さは450mmに設定した。 スパッタ流路部分に関しては,計画段階ではスパッタ電極+側の電極をどのよう設置するのか不透明であったが,研究を進める中で真空吸着技術に着目し,真空吸着技術によりスパッタ電極+側の電極を流路上側に配置できるようにした。なお,スパッタ電極の電圧測定をするのにプローブを利用する予定であったが,今回は水コンデンサを使った分圧器を作成し,電圧測定の工夫も行った。この成果については電気学会茨城支所研究発表会で研究発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度にはパルス放電スパッタ装置の構築を予定していた。その装置は,マルクス回路,パルスフォーミングライン,ギャップスイッチ,電極スパッタ流路を組み合わせて構築する予定であった。コロナ禍で大学への入構制限等があったため,電極スパッタ流路がまだ完全に完成していない。2021年前半のうちに完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度前半にはパルス放電スパッタ装置の未完成部分である電極スパッタ流路を完成させて,スパッタ実験を行う予定である。さらに,2021年度後半にはシミュレーションによるパルス放電の基礎物性の推定,志ミューレションと並行してスパッタプロセス解明を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,出張が制限されたため,未使用額が生じた。次年度は旅費や学会参加費等に使用する予定である。
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