研究課題/領域番号 |
20K04412
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
安藤 芳晃 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30323877)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ULF帯電磁波 / 地殻内伝搬 / WLP-FDTD法 / ULF電磁放射 / 地震 |
研究実績の概要 |
Douglas-Gunn(DG)アルゴリズムに基づくWeighted Laguerre Polynomial-Finite Difference Time Domain (WLP-FDTD)法の効率的解法について、3次元計算への適用を行った。数値計算結果の検証を行ったところ、WLP-FDTD法の展開項数を増やすと解が不安定になる現象が観測された。これについては2次元では見られなかったものであり、3次元のスキームにおいて原理的に生じるものか、重み付きラゲール関数の級数解の収束判定を調べているところである。 同時に、WLP-FDTD法を用いた地殻変動に伴う電磁放射の検討を2次元解析で行っている。昨年度までは導電率分布としてAlekseevらが開発したグローバル導電率モデルを用いて行っていたが、水平方向の空間解像度が0.25°×0.25°であり、例えばグアム地震などに対して観測機を設置したグアム島を正確にモデル化できない。そこで、グローバル導電率モデルにGrayverが開発した海洋導電率モデル(0.1°×0.1°)を重畳させ、導電率の空間解像度を向上させたモデルを開発した。海洋導電率モデルは海洋部以外では導電率データのない不連続部が生じるが、それを多項式による補外によって補完した。開発したモデルを用いて全てのイベントで解析をし直し、波源電流強度の推定精度を向上させた。また伊豆諸島群発地震については、設置された観測器が選択的にULF電磁放射を観測したことを踏まえ、原因となる地震の特定を行って解析をし直した。地震の規模と推定電流強度の間に良い相関があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DGアルゴリズムを用いた3次元WLP-FDTD法について開発したものの、不安定性が生じているのでその原因を追求しているとともに、DGアルゴリズムを用いない3次元WLP-FDTD法について開発をしている。 導電率モデルの詳細化を行い、地殻変動に伴うULF帯電磁放射のシミュレーションの精度向上が図れている。
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今後の研究の推進方策 |
3次元WLP-FDTD法を用いた電磁場シミュレーション法を開発して、地殻変動に伴う電磁放射の検証を引き続き行ってゆく。精度向上させた導電率モデルを用いて開発した3次元WLP-FDTD法に実装する。波源電流強度とマグニチュードの相関を3次元で検証してゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発した3次元WLP-FDTD法によるULF帯電磁場シミュレーションについて、不安定性が解消しなかったため、計算機選定まで至らなかった。DGアルゴリズムを利用しないシミュレーション法を開発し、計算機購入か、あるいは計算量によっては大型計算機の利用を検討してゆく予定である。
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