研究課題/領域番号 |
20K04422
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
中村 一也 上智大学, 理工学部, 教授 (00407339)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 超伝導コイル / 核融合炉 / JT-60SA / 安定性 |
研究実績の概要 |
核融合炉内超伝導コイルは隣接するコイル及び周辺機器の影響から様々な変動磁界が印加され,その結果,損失が発生する。この損失は超伝導コイルの温度上昇,コイルの絶縁破壊など安定性を阻害する要因の一つである。これらを定量的に見積り,電気的安定性評価を行い,それらの結果を用いて,超伝導コイルの冷却系統モデルを構築することは,核融合炉用超伝導コイル技術の早期実用化に寄与すると考えられる。令和3年度の研究実績の概要を以下に示す。[1]JT-60SA CSの過渡応答及び共振特性評価:JT-60SA CSモジュールの電源電圧を測定し,最大電圧印加速度(dV/dt)を算出した。また,CSモジュールの回路モデルを作成し,過渡応答による導体間電圧への影響を調査した。その結果,CSの過渡応答解析において,20 MV/s以下の印加電圧速度では,層間の最大電圧は絶縁材の耐電圧値0.38 kVを超えないことが示された。ゆえにJT-60SA CSモジュールの電源は,過渡応答により層間の絶縁は損傷しないことが示された。[2]JT-60SA CSの冷却時における温度分布解析:JT-60SA冷却回路PFループにおける質量流量及び圧力の温度依存性の測定結果を基に,CS,EF,TF,TF構造物,TSを含む解析モデルを作成し,コイルの温度条件が冷却速度に及ぼす影響について調査を行った。その結果,本解析モデルにおいてコイルの入口と出口の温度差を20.1 K以上に保つことで,コイルを室温から80 Kまで30日以内で冷却できることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度に計画していた[1]JT-60SA CSの過渡応答及び共振特性評価及び[2]JT-60SA CSの冷却時における温度分布解析は遂行することができた。よっておおむね順調に進展してる。また,令和2年度から行われているJT-60SAの実証試験結果を用いて高い解析が行われていると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,令和4年度に取得したJT-60SAの実証試験結果をもとに令和3年度に作成した電気的解析モデル及び冷却解析モデルをより精度の高いものに作成しなお し,超伝導コイル内の絶縁破壊及び交流損失のメカニズムの検証及び熱負荷変動を考慮した冷却系統をモデル化を行い,最適な冷媒供給を調査する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度はコロナの影響により旅費の使用が少なかったため次年度使用額(B-A)が生じた。令和4年度はこれらの予算を消耗品費及び人件費・謝金に振り分 ける予定です。
|