研究課題/領域番号 |
20K04436
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
南谷 靖史 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10323172)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バーストパルス / パルス電界 / がん細胞 / アポトーシス / ネクローシス / 細胞膜 / 絶縁破壊 / 活性種 |
研究実績の概要 |
2020年度は(1)細胞への効果を高めるためのバーストパルス発生装置の個体スイッチ化と高出力化の検討,および(2)低周波印加時に細胞で発生する活性酸素種の発生源の調査を行った。(2)の活性酸素種の発生源の調査は低周波でも発生した活性酸素種がアポトーシスを引き起こしている可能性が出てきたからで,高周波に重畳する必要のある低周波の効果をさらに詳しく調べるために必要であった。 (1)バーストパルス発生装置の高出力化 高出力化のためには2020年度に高電圧半導体スイッチの購入が必要であったが仕様変更の必要が生じ,価格が申請時の見積もりより高くなったため費用的に難しく,2021年度の購入に変更した。そのためーストパルス発生装置の高出力化研究のみを行った。結果,磁気スイッチの材質に対する寸法の不一致が起こり,動作不良が発生した。この点を修正することが2021年度の課題として浮かび上がってきた。 (2)低周波印加時に細胞で発生する活性酸素種の発生源の調査 細胞はパルス電界印加時には膜破壊によるネクローシスで死亡するが,中にはアポトーシスが誘導されたときに起こるフォスファチジルセリンの膜外露出を引き起こしている細胞もあった。それには細胞膜の絶縁破壊によって発生した活性種(ROS)が関与していると考えている。細胞はROSの発生要因を内部の細胞小器官に持つので,細胞膜だけの模擬細胞を作成しパルス電界を印加し細胞膜の破壊とROSの発生状況を調べた。細胞染色液H2DCFDAとYO-PRO-1による細胞染色の結果,パルス電界印加により細胞が絶縁破壊することで,ROSが発生することが分かった。また,パルス電界によって模擬細胞の細胞膜が崩れて壊れているものや修復しているものがあることがわかった。今後,膜修復についての検討,膜の絶縁破壊によるROSが関与している細胞死の誘導過程の解明を行う必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)バーストパルス発生装置の全固体化のために高電圧半導体スイッチの購入が必要であったが,仕様変更により価格が高くなり2020年度の購入はできなくなった。そのためバーストパルス発生装置の全固体化については遅れている。 (2)細胞にアポトーシスを効率的に誘導できる周波数については,今までアポトーシスが起こすことができると考えていた高周波だけでなく,低周波でも細胞内に活性酸素種が発生し,この活性酸素種をうまく使えばアポトーシスを起こすことができることがわかり,この活性酸素種は低周波印加時の細胞膜破壊時に発生する放電プラズマにより生成されていることが明らかになった。そのため,高周波と低周波の組み合わせでアポトーシスの誘導が効率的に起こせることが,このことからも明らかになった。したがって,重畳する低周波は細胞膜破壊時に高エネルギーの放電プラズマが発生し,活性酸素種を効率的に作れる周波数がいいことが明らかになった。しん 以上,(1)については遅れているが,(2)については当初の計画以上の成果が得られたため,総合的にはおおむね順調に推移しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)2021年度には2020年度の予算と合わせ,バーストパルス発生装置の全固体化のための半導体スイッチの購入が可能となるので発注を行う。そして半導体スイッチが納入され次第バーストパルス発生装置の全固体化に取り掛かる。磁気スイッチおよび寸法構造については再度設計をし直し,再購入し,組み直しを行う。 (2)低周波の効果については放電プラズマにより発生した活性酸素種のアポトーシス誘導に与える効果について詳しく調べる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
バーストパルス発生装置の高出力化 高出力化のためには2020年度に高電圧半導体スイッチの購入が必要であったが仕様変更の必要が生じ,価格が申請時の見積もりより高くなったため費用的に難しく,2021年度の購入に変更した。2021年度には2020年度の予算と合わせ,バーストパルス発生装置の全固体化のための半導体スイッチの購入が可能となるので発注を行う。そして半導体スイッチが納入され次第バーストパルス発生装置の全固体化に取り掛かる。 また,旅費に関してはコロナウイルスの蔓延により学会が全てオンラインになったため移動がなく,使用がなかったため次年度に合わせて使用する。
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