(1)成果の概要:R3年度までに試作したモータベンチ,ならびにコントローラを使って,オフラインでのモータ定数測定を行うことなく,モータ接続後にすぐにセンサレスベクトル制御が可能となるアルゴリズムの検証を行った。 (2)特徴:汎用マイコンであるルネサスエレクトロニクス社製のRX72Tを使用し,従来にないマイナーサンプル周期での電流読み込みを行い,モータ制御を行うと同時にインダクタンス計測を行うアルゴリズムを実装した。マイナーサンプル制御は,キャリア周波数の16倍の周期として設定し,高精度な定数測定が可能であることを示した。センサレス起動では,直流位置決めや同期駆動などのシーケンスが必須であり,これらの動作と並行して定数測定を行った。この間,使用者からは,通常のセンサレス制御の動作にしか見えないが,実際には制御に必要な定数を取得している。 (3)結果:回転数仕様,極数仕様などの異なる3台の永久磁石同期モータを用意し,それぞれをソフト変更することなく,負荷をかけながらトップ速度まで加速することが確認できた。また外付けインダクタンスを付加した場合にも,その値を考慮したインダクタンス値が求められることを確認した。 (4)目標以外の成果:極数が不明なため,速度指令の設定ができないモータに対しては,速度指令ではなく,誘起電圧指令を与えて,定数計測しながら周波数指令を計算する工夫をした。この結果,極数が不明のモータに対しても,常に定格周波数付近まで加速することが可能となった。
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