研究課題/領域番号 |
20K04441
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
関川 純哉 静岡大学, 工学部, 教授 (80332691)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アーク放電 |
研究実績の概要 |
電磁リレーやブレーカー等のデバイスには電気接点対が搭載されており、それらのデバイスで回路を遮断する際にはアーク放電が発生する。数アンペア程度の回路を遮断する際に発生するアーク放電であってもその温度は6000K程度に達するため、アーク放電に触れる電気接点対とその周辺物の消耗は避けられない。消耗を低減するためには、アーク放電の継続時間を可能な限り短縮することが有効である。短縮方法として接点対を開く速度を速くすることや磁気吹き消しなどの作用を利用する方法があるが、特にアーク放電発生直後にはそれらの作用による短縮効果は限定的である。そこで本研究では、電気接点対そのものの動作に伴って電気接点内部から接点間隙に高速気流を噴出させてアーク放電に作用させる方法を提案し、新たなアーク放電の継続時間の短縮手法を実現することを目指している。 この手法の実現のために、昨年度は新たな実験システムを構築した。そのシステムに気流噴出機構を伴う接点対を搭載し、接点間隙に気流を発生させることができた。本年度はその装置を用いて実験を実施しその効果の検証を試みた。その結果、アーク放電の継続時間について顕著な短縮効果は得られなかった。実験条件としては、接点対の開離速度は最大0.5m/s、気流噴出用の穴の直径は1mmであった。しかし、接点表面上におけるアーク放電の移動特性を詳細に解析した結果、気流による影響を受けていることを示唆する結果が得られた。また、接点間隙での気流に関して数値シミュレーションを行い、接点形状の違いによる気流の変化と、接点間隙での気流の速度分布について、検討することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、気流噴出機構を組み込んだ実験装置による実験を実施し、アーク放電の継続時間の短縮効果を確認することを目標としていた。しかし、明確な短縮効果を得るまでには至らなかった。多くの接点形状での実験が実施できておらず、その最適化が進まなかったことが主な理由である。
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今後の研究の推進方策 |
気流噴出機構を組み込んだ接点対を搭載した実験装置による実験を継続する。高速度カメラを用いてアーク放電の移動特性を解析し、気流による吹き消しの効果を詳細に解析する。また、接点対間での気流に関する数値シミュレーションによる予測結果を接点形状の最適化に適用する。気流による効果を実証するために、接点形状の改良と、接点対の開離速度の高速化等を実施し、より効果的な気流を接点間隙に発生させることを試みる。開離速度は最大で1m/sを想定している。これらの実験と数値シミュレーションの組み合わせより、吹き消しに有効な条件を追究しその効果を実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
気流噴出機構を伴う接点対の形状の変更数が当初の想定よりも少なく、消耗品費としての接点材料の使用量が少なかっため。次年度での接点材料購入費として使用予定である。また、予定していた出張計画が変更されたため。
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