研究実績の概要 |
本研究では、電気接点対そのものの動作のみによって電気接点内部から接点間隙に高速気流を噴出させてアーク放電に作用させる方法によりアーク継続時間を短縮することを目指している。 本年度は、昨年度に実施した気流噴出機構を伴う電気接点対を搭載できる実験システムの構築後、接点開離時に接点間隙に気流を発生させる実験を実施した。 昨年度までの成果としては、その際に用いた実験条件と接点構造では、顕著なアーク継続時間の短縮効果は得られていなかった。本年度は電気接点の形状とその動きに伴う構造を改善することで、接点間隙に発生する開離時アークに、より効果的に気流を作用させることで、アーク継続時間を短縮することを試みた。本年度に実施した実験では、昨年度の主な実験条件に対し主に、接点の開離速度を速くすること、可動接点内部に存在する固定円柱の直径を大きくすること、および可動接点接触面の気流噴出用の穴の直径を小さくすることで接点間隙に生成される気流の流速を速め、開離時アークを吹き消す効果を高めるように実験条件を変更した。また、接点間隙での気流分布を最適化するために接点接触面の形状も変更した。実験での主な回路条件は電源電圧100VDC、接点接触時の電流10Aとした(昨年度の主な条件はそれぞれ48VDC,9A)。気流噴出機構が無い場合のアーク継続時間は約11msであった。それに対し、接点形状最適化前の気流噴出機構を用いた場合には、アーク継続時間は約半分に短縮された。このとき開離時アークが接点間隙外に押し出されることを確認した。さらに、接点形状を最適化した場合、アーク継続時間を10分の1まで短縮できた。
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