研究課題
循環型社会と安全安心が担保された社会を世界的な視点で実現するためには,水質浄化を含めた水処理は必須の課題であるものの,高度化・多様化した現在は,既存の水処理技術では限界がある。本研究は,水中プラズマを使った水処理装置の実用化を目指したものである。独自のプラズマ発生方式である「水中キャビテーション放電」を採用し,実用化のために必要な知見を明らかにすることを目的として実施してきた。昨年度(2021年年度)は,電気導電率50mS/m(国内水道水の約5倍)の被処理水に対応するため,電極間の電気抵抗から気泡量を定性的に推定する方法を考案し,その方法の妥当性の実証と最適なリアクタを設計するための指針が得られた。さらにイオン交換樹脂カートリッジにより,十分にプラズマ発生できる程度まで導電率を低下させるための条件を把握できた。これらの結果を踏まえ,本年度(2022年度)では,水圧測定結果も検討事項に加え,より定量的な条件の下での最適化を試みた。試験用リアクタは3Dプリンターで製作して効率化を図った。実験では各リアクタごとに流路圧力,流量を測定し,それらの値から「キャビテーション数」を算出した。その値と電極間電気抵抗値と放電発生周波数の関係を実験的に取得し,両者の相関をすべてのリアクタ条件,流量条件において調べた。キャビテーション数は水中でキャビテーションが発生しやすいかどうかを表す指標であり,その数値が小さいほどキャビテーションが発生しやすい条件であることを示す。キャビテーション数と電極間電気抵抗値および放電発生周波数との間にはあららかに相関があり,リアクタの最適化設計をするための評価指標として妥当であることが実証された。
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Physica Scripta, IOP Science
巻: 98 ページ: 055608(10pages)
10.1088/1402-4896/acc704
Biocontrol Science,2022, Vol. 27, No. 1, 41-46.
巻: 27 ページ: 41-46
10.4265/BIO.27.41