SDGsやカーボンニュートラルへの対応として,大型風力発電の導入,航空機や大型船舶の推進装置の電動化などが検討されており,これらへの応用には発電機やモータの小型・軽量化が重要な課題である。超伝導技術を用いることにより,高磁場及び大電流の発生が可能となり,特に超伝導バルク磁石は小型冷凍機で高温超伝導バルク体を冷却し,着磁することで,冷却し続ける限り疑似的に永久磁石として使用することができる。また,着磁方法としては,電機子コイルを用いて短時間で着磁できるパルス磁化法が有効であると考えられる。一方で,同手法では試料に磁場を曝す時間が短いため,発生磁場が小さくなる。そこで軟鉄ヨークを用いることにより発生磁場を大きくすることができるが,装置の重量が大きくなってしまう。そこで,軟鉄ヨークの形状や大きさを変更することにより,捕捉磁場を維持しつつヨークを軽量化することを検討し,形状をクロス型に変更することで優位性を確認した。これまでは実験による検討を行ってきたが,時間的・経済的な問題があり,数値解析による検討が必要である。そこで,有限要素法による動磁場及び温度の過渡応答解析ソフトPhoto-Eddy/Thermo(PHOTON社)を用いて,本研究室のバルクPFMシステムの三次元モデルを作成し,実験と同様の条件でシミュレーションを行った。数値解析の結果は,実験結果を再現することに成功し,さらに着磁プロセスを可視化することができた。これらの結果について,ASC2022(米国応用超伝導会議, 2022.10.23-28),低温工学・超電導学会(第103回: 2022.6.20-22,第104回: 2022.12.7-9),第31回MAGDAコンファレンス in 鹿児島(2022.11.1-2),令和5年電気学会全国大会(2023.3.15-17)等で発表するとともに意見交換・情報収集を行った。
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