令和3年度の研究において特定の制御から異なる制御への切替を行う際に発生する制御変動を抑制可能な安定なパラメータをニューラルネットワークで学習するための検討を実施した。今年度は,安定なパラメータを推定可能なニューラルネットワークを学習するための学習データの条件について検討を行った。具体的には学習に用いるモータの緒元,制御パラメータの範囲について様々な条件におけるニューラルネットワークの学習とその結果によるモータ制御の検証を行い,どのような学習条件を設定することにより効果的な学習が可能かを検討した。まず,学習に必要なモータのサンプル数においてはサンプル数を増やせば増やすほど効果的な学習が可能であるが,実質的には20台ほどで十分な効果が確認できたが5台程度でのサンプルでは安定・不安定の十分な判断ができなかった。またモータの低格トルク,定格電圧においては特定の範囲のサンプルのみを学習データとした場合,その範囲から逸脱するようなモータにおいては推論の精度が著しく低下することがわかった。つまり,ある程度の多様なモータのサンプルを十分な数準備することが必要である。また,安定性の判断を行うパラメータの数については主に結果の視認性の観点から2パラメータ(例:速度制御帯域とセンサレス制御帯域など)で検討を進めてきたが3パラメータ以上の同時推論も可能なことを確認した。以上の成果についてまとめ、査読付き国際学会であるIPEC-Himeji2022にて1件の発表を行った。
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