研究課題/領域番号 |
20K04452
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
堺 和人 東洋大学, 理工学部, 教授 (40377099)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高出力 / 高効率 / 軽量 / 磁界共振 / モータ / 発電機 / 電気飛行機 / 電気自動車 |
研究実績の概要 |
本研究の新規の電気飛行機用モータ・発電機は、出力密度(重量当たりの出力)を従来機の数倍に高めるために固定子と回転子の両方とも鉄心が無いエアギャップワインディングの巻線から構成され、磁界共振結合によって出力を確保する。そこで、初年度計画では高出力密度を得るために多相コイルのモータ・発電機の電磁気的構成を検討し、磁界解析を用いて特性を把握、分析して、磁界結合係数向上と巻線間の磁束の相互作用の効果的利用を図るとした。初年度の令和2年度では、磁界結合を高める方策として、エアギャップワインディングの固定子巻線の外部に漏れる多量の磁束を減少させるために漏れ磁束抑制の薄い磁性リングを外周部に覆う構成とした。磁性リングは極薄厚の電磁鋼板の積層したもの、または圧粉磁性で構成される。さらに回転子の巻線より内周側に漏れる磁束の低減を図るために内周側にも薄い磁性リングを設けた。固定子と回転子の両方に漏れ磁束抑制の薄い磁性リングを設けた構成は漏れ磁束の低減によって磁気結合係数は向上して相互インダクタンスは先行研究の約3.0倍の値まで大きくなった。その結果、トルクと出力はそれぞれ先行研究の約8.8倍、出力は8.3倍にも達した。また、出力向上の他方式として、永久磁石のみの回転子を追加した二重の回転子構成のエアギャップワインディングの磁界共振結合モータ・発電機の特性を磁界解析で検討した。永久磁石併用の本モータ・発電機は、先行研究の永久磁石回転子の無いものより4.06倍の出力が得られた。さらに無鉄心において巻線に鎖交する永久磁石の磁束が増加するように永久磁石をハルバッハ配列にした。その結果、ハルバッハ配列の永久磁石の本モータ発電機は一般的な表面配列の永久磁石のものより1.19倍の出力向上が確認された。しかし、いずれの永久磁石併用でもすべりの範囲が限定されること、永久磁石回転子の位相制御が必要になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和2年度は漏れ磁束抑制による方法とハルバッハ配列の磁石併用による方法の2つとも出力向上が磁界解析によって確認されたことから、進捗状況は計画以上に進展している。また、漏れ磁束抑制では磁界解析と等価回路の両方で特性を検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は高出力と高出力密度、さらに高効率を両立させた磁界共振結合モータ・発電機を得るために電気と磁気の両面から検討を行い、その結果を反映させて200kW級モータ・発電機の設計を行う。磁界解析を用いて設計機の基本特性と駆動特性を得る。さらに実験による実証と特性把握を行うために試作する原理モデルの検討及び設計を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスによる海外渡航禁止と国内出張禁止、及び学会の中止やWeb開催への変更によって国際会議と国内学会発表の旅費は未使用になった。また、研究が計画よりも進んで新たな知見や考えが得られたことから、これらの成果を取り入れて研究を行うため今年度購入用品を見直して次年度の購入や実験試作費に充てることにした。 次年度使用額は次年度の研究用品の購入に充てる予定である。
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