研究課題/領域番号 |
20K04453
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
柿ヶ野 浩明 立命館大学, 理工学部, 教授 (30437371)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 洋上風力発電 / 直流送電 / MMC |
研究実績の概要 |
地球温暖化や化石燃料依存低減を背景に,洋上風力発電の導入がヨーロッパを中心に進んでいる。洋上風力の発電電力を需要の多い地域に送る方法として,多端子直流送電システムが検討されている。さらに,多端子直流送電システムの構成として,中圧直流集電方式が提案されている。この場合,風車内には,風力発電の出力を低圧直流に変換する交直変換器と,それを中圧直流に昇圧する変換器の2つが必要となる。そこで,風車内の交直変換器にモジュラーマルチレベルコンバータ(MMC)を用いることで,風車内の変換器を1つにすることができ,小型・軽量化やコスト低減が期待できる。本研究は,風力発電機の交直変換器にMMCを適用した場合の制御法を明らかにし,シミュレーションと実験により検証することを目的とする。 洋上風力発電の同期発電機に接続する交直変換器にMMCを適用した場合について,実験による検証を行うためのミニモデルの構築を行った。ミニモデルの構築では,三段のMMCを作成し商用系統(三相,60Hz)と接続して交直変換の実験を行い,直流電流制御および直流電圧制御について想定通りの動作を確認した。つぎに,一段のMMCを発電機として用いる同期機と接続し交直変換を行う実験を行った。回転速度制御については,動作を確認できたが,各セルの電圧バランス制御が安定せず,トルクを加えての実験には至らなかった。シミュレーションでは,動作することを確認しているため,今後原因解明と解決法について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MMCについては,昨年度は1段であったが,今年度は本研究で目的とする3段に増設し,電力系統(三相,60 Hz)と接続して,交直変換の実験による確認を行った。 次に,同期機と1段のMMCとを接続し,実験を行った。トルクを与えていない場合の回転速度制御は行うことができたが,トルクを与えると直流キャパシタ電圧のバランス制御がうまく動作しない問題が生じた。これについては,今後検討する予定である。 なお,上記の実験を行うにあたり,それぞれ事前にシミュレーションにて制御ブロックなどの動作検証を行っている。 上記のように,研究の進捗状況は概ね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
一段のMMCを発電機として用いる同期機と接続し,トルクを入力した際の動作検証を行う。次に,交直変換を行う実験同期機に取り付けるMMCの各アームの段数を二段とし同様に実験を行う。実験がうまく進めば,三段に増やしてミニモデルによる動作確認を行う。並行して,同期機が複数台並列接続されている場合について,シミュレーションにより検討する。
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