研究課題
研究期間の最終年度である2022年度には,日時計のように太陽の運行に伴い移動する部分影を利用した短絡故障バイパスダイオード(BPD)の故障検出に取り組んだ。提案手法では,部分影の位置と最大電力点電力および電流の変動との関係に基づき短絡故障BPDを検出する。しかしながら,不規則に変動するグラフや計測値そのものからは部分影の位置と短絡故障BPDの位置との関係を見出すことはできなかった。グラフや数値から直接読み取ることが困難な特徴量の変化を機械学習を用いて検知することを試みた。本研究では機械学習モデルとしてランダムフォレストを用いた。学習に用いる特徴量は,最大電力点電力,最大電力点電流,および日射強度とした。その結果,故障部に部分影が生じた場合の異常スコア(機械学習プログラムの出力)はそれ以外の場合より明らかに高いことが明らかになった。本研究では,異常スコアが0.7以上の場合を故障とするようにしきい値を設定して故障判定をした。その結果,適合率は93.3%,再現率は68.4%であった。安全性向上の観点からは誤報よりも見逃しを減らすことが重要であるため,十分な結果といえよう。このように,機械学習を用いることで,太陽の運行に伴い移動する部分影を用いた故障検出を可能とした。研究期間全体を通して,まずは実際に火災が発生したPVシステムから収集した短絡故障BPDの特性を調べ,その故障抵抗値の分布を明らかにした。次に,PVアレイの一部をシートで遮光した場合,BPDの状態によって電流-電圧特性が大きく異なることを明らかにした。最後に,PVアレイの表面に日時計のように太陽の運行に伴い移動する部分影を生じさせることで,運転中のPVシステムにおいて計測可能なデータ(最大電力点電力および電流)を機械学習プログラムで処理することで,短絡故障BPDの位置を特定することを実現した。
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Electric Power Systems Research
巻: 214 ページ: 108930~108930
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