研究実績の概要 |
昨年度より開始したCHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞)を対象に,ナノ秒パルスとミリ秒パルスの与え方,懸濁液の組成などを変化し,電気ダメージの大小やGFP発現個数の多寡を調査した。最初に印加するポアリングパルス(PP)としてパルス幅・電圧が100 ns,2.0 kVのナノ秒高電圧,PP後に1 msのインターバルを経た後,印加するトランスファーパルス(TP)としてパルス幅・電圧が10,30,50 ms,60,70,80,90 Vと大きく変化したミリ秒低電圧パルスを組み合わせパルスとしてGFPの導入実験を行った。 はじめに印加するパルスをPPのみ,TPのみ,PP+TPの組み合わせパルスとして実験を行い,PPのみでは導入はできないこと,TPのみでパルス幅や電圧が長く高くなるにつれてGFPの導入が確認できた。しかし,TPの前にPPを組み合わせた場合,TPのみに比べGFPの導入個数が格段に増加することが確認でき,ナノ秒高電圧のPPとしての効果が確認できた。 次に,これまでの細胞(HL-60,RAW264.7)と同様に組み合わせパルス条件毎のCHO細胞の状況(影響なし,良好な導入,ダメージ大)を,TPパルスのエネルギーを横軸,同パルスの電界(=電圧/キュベットのギャップ長)を縦軸としてプロットし,良好な導入ができる組み合わせパルスの最適条件の範囲が判明した。プロットによるとCHOの最適条件領域はRAW264.7とほぼ同等であることが分かった。 新しい細胞種として導入が困難とされるTHP-1の培養と導入実験を開始した。
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