研究課題/領域番号 |
20K04461
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
庄野 和宏 筑波大学, システム情報系, 准教授 (50333993)
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研究分担者 |
武藤 浩二 長崎大学, 教育学部, 教授 (30311096)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ポリフェーズフィルタ / ミニマルファブ |
研究実績の概要 |
今年度は、ミニマルファブにより、3回の試作を行った。SOI CMOSプロセス、最小チャネル長6umであるが、製造の安定性の観点から、10umとして設計した。 まず、6月期の試作においては、当時安定して製造することが期待されたpMOS電界効果トランジスタのみを使用した。4相矩形波発生回路、アナログスイッチの一部の部品、6次RCポリフェーズフィルタを実装している。評価を通して、製造時の問題により、多くの素子で基板への短絡が見られ、大半のトランジスタが動作しなかった。基板への短絡について、問題解決を依頼した。 次に、12月期に試作を行った。この回路は、4相矩形波発生回路1個、アナログスイッチ12個、3次RCポリフェーズフィルタ1個を搭載しており、それぞれは内部接続されている。試作チップは4mm角、44ピンとなった。基板への短絡は解決していることがわかった。一方、ビア(メタル1-メタル2層の接続点)あるいはコンタクトホール(メタル1-メタル以外の層との接続)の導通不良が見られた。4相矩形波発生回路の分周動作は見られたものの、正常に動作しなかった。アナログスイッチは動作した。プロセス不良はビアなのか、コンタクトホールであるのかの区別が出来なかったため、次の試作では、ビアを使わないで試作を行うことにした。 以上の評価のためのレイアウトを行う過程で、面積最適化から見た4相矩形波発生回路の出力インピーダンスと測定誤差との関係、負荷容量と測定誤差の関係を定量的に明らかにすることができた。以上を2022年3月の電気学会電子回路研究会において発表した。 最後に、2月期試作を行った。この回路は、ビアと2層メタルを使用しないように変更した評価用TEGである。D-FFを1個、アナログスイッチを1個、RCPFを実装している。さらに、評価用トラジスタを実装している。トランジスタ単体の評価を現在行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、面積最適化、回路の出力インピーダンスと測定誤差の関係などが明らかとなった。これまでの遅れを取り戻すべく、ミニマルファブにより3回の試作を行った。集積回路の試作回数としてはかなり高頻度であるといえる。レイアウトや評価基板の設計ノウハウを得たが、回路が正しく動作せず、全体を通しての回路評価ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、フェニテック社0.6umプロセスにより集積回路を試作し、全体の動作を確認する予定である。試作は2回を予定している。研究協力者、共同研究者とのZOOMを使ったビデオ会議は週1回の頻度で行っており、のべ40回を超えた。今後も同じ形式で情報交換を行う。また、国際会議での発表を2件投稿中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
集積回路試作に関して、余剰金1円が発生した。今年度使用予定である。
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