令和3年度末は、前年度にミニマルファブで試作したウェハの評価実験を行った。その結果、アナログスイッチは動作するが、4相矩形波発生回路は期待する4分周動作を行わないことが分かった。試作したウェハを物質材料研究機構に依頼してダイシングし、本学のオープンファシリティ研究機構の共用装置でボンディングを行い、本研究室で製作した評価基板で評価を行ったところ、RCポリフェーズフィルタ(以下RCPF)が動作しないことが分かった。この試作ウェハは目的の回路の他に、試験用の素子を多数搭載した。その評価結果から、MOSトランジスタのリーク等の製造上の問題が認められることが分かったが、設計方法は概ね正しいことが分かった。 文末謝辞に記載する研究者と相談した結果、最終年度である令和4年度は、フェニテック社の0.6μmプロセスで2回の試作を行った。本試作に関し設計CADとして、主にLTspice、KLayoutを用い、最終検討のためにJedat社のSX-Meisterを利用した。この集積回路は1.8mm角、80ピンのQFPパッケージである。目的とする4相矩形波発生回路、デジタルバッファ、アナログスイッチ、RCPF、要素回路TEG、3つの抵抗値ばらつき測定用TEG、キャパシタンス測定用のTEGを搭載した。その結果、各要素回路は予想通り動作した。特に4相矩形波発生回路は200MHz超で動作した。RCPFの動作にやや問題があったが、重ね合わせ法の測定結果とほぼ一致し、本研究の目的は概ね達成したことが示された。この結果は、令和5年度の国際会議で発表する。 本研究全般に関し、研究協力者の谷本洋名誉教授、研究分担者の武藤浩二教授から多大な協力を得た。また評価実験に関し法政大学吉野理貴客員講師、レイアウトに関し(株)アナジックス森山誠二郎氏、(有)たかもり高橋誓氏から多くの重要な助言をいただいたことに感謝する。
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