研究課題/領域番号 |
20K04463
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高野 泰洋 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70782746)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Physical layer security / Secure transmission / Compressive sensing / mMTC / IoT |
研究実績の概要 |
取り組み課題A)「圧縮センシングを応用した分散ネットワークでの情報理論的安全な無線伝送」に関して,IoTシステムでの新たなセキュア伝送法を検討した.第1段階の成果として,ActiveなMIMO-Multiple Eavesdroppers (ME)環境を想定し,演算量オーダーO(N)の低コストなIoTセンサ端末に対する情報理論的安全なセキュア伝送法を提案した.この成果は,国際会議IEEE Globecom 2020にて採択された.これを拡張し,(傍聴者のチャネルパラメータの推定が困難な) Passive Eavesdroppers を含むネットワークでの安全性向上の検討を継続する.また,国際共同研究成果の一つとして,Grant-free 通信ネットワークにおいて,圧縮センシング技術の一つであるApproximate Message Passing (AMP) を応用した新たな端末ActivityおよびTiming offset検出アルゴリズムを提案した.この成果は国際会議IEEE PIMRC 2020に採択された.当該AMP法を応用し,引き続き取り組み課題B)「分散ネットワークでの安全な鍵共有法」を検討していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前記取り組み課題A)に関し,Passive Eavesdropperを有するネットワークシナリオにおけるセキュア伝送の検討が完了できていない.原因の一つとして,職位が2020年度までの有期雇用であり,求職活動のため研究活動に十分な時間を確保できなかったことが挙げられる.一方,求職活動を通じ,情報理論的なアプローチから得た研究成果の実現性や実検証計画が不十分であるとご指摘を頂戴した.今後,本研究では,計算機シミュレーションによる理論検証に加え,ソフトウェア無線等を活用した実伝搬環境における検証実験も含めた研究計画を再検討する.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,まず,空間信号処理および伝搬路特徴量を活用した符号化のアプローチを併用し,Passive Eavesdropper問題に対する解決策を検討していく.提案技法の検証の第1段階は,やはり,計算機シミュレーションを活用するが,Large-scale / massive MIMOシステムの伝送評価には多大な計算能力が必要になる.このため,京都大学のスーパーコンピュータ・サービスを利用させていただく予定である.また,伝搬路特徴量については,従来から活用しているSpatial Channel Modelによる計算機実験に加え,ソフトウェア無線等による実サンプルデータに対しAI技術を活用して解析し,より現実的なアルゴリズムの提案と検証に取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のとおり,2020年度は求職活動のため研究活動に十分な時間を確保することが困難であったため,計算機サーバの購入を保留した.2021年度の研究活動促進のため,予定していた計算機サーバの導入および京都大学コンピューティングサービスの利用料に当該助成金を使用させていただく計画である.
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