本年度は,プロポーショナルフェアネス(PF: Proportional Fairness)規範という共通の規範を用いることで機械学習(基地局の選択規範に与えるオフセットの最適化に適用)・凸最適化(前述のオフセットに基づき選択された基地局内の無線リソース割り当てに適用)を併用し,ネットワーク全体で最適な無線リソース割り当てを実現するアルゴリズムに対して,学習過程の特性劣化を改善する方法を更に改善した. 具体的には以下の通りである.6Gにおいて一般的である複数の周波数帯を併用したシステムを対象とした.低周波数帯はエリア全体を確実に通信できるように事前にセル設計が行われているものとして自動最適化は行わない.その上で,高周波数帯はセルスループットを改善するために用い,基地局の高周波数帯のオフセットを自動最適化するものとした.この手法を用いた場合について学習過程で最適化が不十分であっても低周波数帯を用いることにより一定の品質を満足できることを確認した.更に,自動最適化後の特性を全てのオフセットの組み合わせのなかで最適な場合(非現実的であるが最適値として導出)とほぼ同等の特性を実現できていることを確認し,自動最適化の正常な動作を確認した. その後,ユーザの分布に応じて自動最適化が正しく動作するかを確認した.具体的には,特定のエリアにユーザが集中する分布を複数用いて評価を行い,自動的に環境に最適化できることを確認した. 最後にこれまでの成果をまとめて対外発表・論文化を行った.
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