研究課題/領域番号 |
20K04471
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研究機関 | 日本工業大学 |
研究代表者 |
吉野 秀明 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (00644816)
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研究分担者 |
山本 幹 関西大学, システム理工学部, 教授 (30210561)
平栗 健史 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (90582817)
大田 健紘 日本工業大学, 基幹工学部, 助教 (50511911)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネットワーク / 過負荷 / 輻輳制御 / トラヒック / IoT |
研究実績の概要 |
本年度は,以下のとおり,IoT のユースケース及びLPWAネットワークの輻輳制御に関する文献調査,IoTシステムのランダムアクセスチャネルにおける輻輳制御方式の特性評価,ならびに,災害輻輳に対する予約型最短通話優先制御方式の改良と特性評価を進め,電子情報通信学会の大会,研究会にて学会発表した。 1.IoTユースケース及びLPWAネットワークの輻輳制御に関する文献調査: IoTのユースケースに関する国際標準化動向,及び,LPWAの代表的な実装方式であるLoRaWANを対象とした複数の無線チャネルの混雑度の平準化を狙った制御方式やデータパケットの送信タイミング制御方式などのLPWAの輻輳制御に関する文献調査を進め,学内セミナーにて報告した。 2.IoTシステムのランダムアクセスチャネルにおける輻輳制御方式の特性評価: LPWAの MAC 層 に多く用いられる Slotted ALOHA方式に対し、加わるトラヒックに応じて適応的に発信を規制する制御方式を適用することで、過負荷時においても,理論的に最大に近い平均スループット特性が得られることをシミュレーション評価により確認した。また,負荷の増減に対する過渡特性も併せて明らかにし,急激な増減に対しても追随できる良好な制御特性が得られることを確認した。以上の結果を電子情報通信学会の総合大会にて発表した。 3.災害輻輳に対する予約型最短通話優先制御方式の改良と特性評価: IoTシステムの輻輳制御の検討に先立ち,輻輳現象と輻輳制御メカニズムに対する理解を深めるため,災害輻輳に対して有効な予約型最短通話優先制御の改良方式を提案・評価した。具体的には,予約サーバにおける予約待ち行列長,平均待ち時間等の特性をシミュレーションにより明らかにした。これらの結果を電子情報通信学会のソサエティ大会及びコミュニケーションクオリティ研究会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の今年度の計画のうち,IoTシステムのいくつかのユースケースから,センサデータのクラス分類を試みる検討に若干の遅れがあるが,上記の研究実績の概要のとおり,シミュレーションによる基本的な輻輳制御メカニズムの評価まで進んでいることから,上記の区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の第1段階の分析による洞察に基づき、当該年度以降は、以下のとおり第2、第3段階として、(2)輻輳対策の分類ごとの輻輳制御方式の提案と特性評価を進める。続いて、(3)複数の制御方式を組み合せた適応的制御方式に拡張し、シミュレーション実験により効果を実証する。 ステップ2: 輻輳制御方式の提案と特性評価 申請者が整理した輻輳対策分類に従い、1) 入力調整(規制)、2) 時間分散、空間分散の観点から、輻輳制御方式を立案する。特に、1) 入力調整を図る輻輳制御方式としては、個別フローを制御するウィンドウフロー制御やポリシング制御と、クラス毎のフローを抑制する規制制御の両面から評価を進める。また、2) 時間分散を図る輻輳制御方式としては、遅延要件の厳しいクラスに対する優先制御、空間分散を図る輻輳制御方式としては、オフローディングなどの各種制御との組み合わせの可能性を検討する。これらの分類ごとの輻輳制御方式を複数考案し、シミュレーションにより特性を比較評価することで、分類ごとに有効となる条件を明らかにすると共に、実装容易性も考慮した方式選定までを実行する。 ステップ3: 適応的制御方式への拡張と効果実証 最終段階として、輻輳対策分類ごとの制御方式を組み合せた総合的な適応的輻輳制御方式に拡張し、シミュレーションにより総合特性の評価を進め、IoTシステムの輻輳制御法として完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた,国際会議,国内研究会,大会がオンライン開催となったため,旅費支出予算分が未使用とした発生した。 R3年度もしばらくは同様な状況が続くことが想定されるため,旅費として計上していた研究予算は,シミュレーション評価等を進めるためのサーバの購入費として使用する計画である。
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