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2022 年度 実施状況報告書

放射・散乱制御のための給電系および放射系の多周波数帯共用化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K04475
研究機関同志社大学

研究代表者

出口 博之  同志社大学, 理工学部, 教授 (80329953)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード多周波数共用 / リフレクトアレー / トランスミットアレー / 最適化 / 直交偏波共用
研究実績の概要

反射鏡アンテナの1次ホーンの多周波数共用化の検討として、多段同軸グルーブホーンを取り上げ、放射パターンの交差偏波成分の低減に加えて、主偏波成分の周波数帯毎の制御を試みている。多段同軸グルーブにリングを装荷した構造のホーンを最適化した結果、パラボラアンテナの開口能率が全ての周波数帯で65%以上が達成され、交差偏波成分も低く抑えた良好な放射特性が得られ、提案する4帯域共用同軸グルーブ1次ホーンの有効性を検証している。
また、任意形状素子を用いた単層リフレクトアレーの多周波数帯共用化の検討として、周波数帯に応じてストリップ素子を単位セル内に配置し、かつ、直交する偏波を制御する新たな素子を提案している。このとき、低域側では、直交する偏波を独立に制御することによって直交偏波マルチビームを可能とし、高域側では、直交偏波共用のシングルビームを実現している。設計したアンテナの放射特性の評価によって提案する方法の妥当性を検証している。
さらに、レンズの多周波数帯共用化の検討として、スタブ装荷リング素子とアスタリスク素子によって単位セルを構成し、直交偏波で共用できるトランスミットアレーを提案している。スタブ装荷リング素子のリングの線路幅、スタブ形状を最適化して、2周波数帯の両方でレンズ設計が行えるアレー素子を開発し、 8/16 GHz帯直交偏波共用トランスミットアレーを設計、評価した結果、良好な放射特性が得られることを検証している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

反射鏡アンテナの1次ホーンについては,設計周波数として12/14/20/30GHz帯を考え、低域側の12/14 GHzでは通常のデュアルモードホーンのように動作させ、高域側の20/30 GHz帯では多段の同軸グルーブ全体の励振振幅・位相を制御して主ビームを成形でき,周波数共用化の一つの方法を開発することができた。
また,リフレクトアレー素子ならびにリフレクトアレーアンテナについては、設計周波数帯を15/30 GHzとするとき、従来の周波数共用リフレクトアレー素子では、最適化などで任意形状素子が設計されているが、隣接する素子の間で生じる相互結合によって著しく特性劣化することが問題であったが,低域側の素子は直交する偏波に対応させるため90度回転させた別々のストリップ素子を用い、高域側の周波数帯への影響が生じないように高調波特性を考慮して素子形状を設計することによって課題の解決を図っている。
さらに、トランスミットアレー素子ならびにトランスミットアレーアンテナについては、1次放射器からの入射波をアレーアンテナで受信し、電磁結合した他方の面のアレーアンテナで放射させ、アレー素子の位相の周波数特性の変化に着目して透過波の開口面の位相を所定の分布に設計することが2帯域共できるようになり、周波数共用化がこの種のアンテナについても可能であることを示すことができた。

今後の研究の推進方策

反射鏡アンテナの1次ホーンについては,焦点から位相中心がずれると反射鏡の開口面において球面収差が生じ、利得低下を招くため、これを抑えることを検討し,高性能化を図っていく.この種の一次放射器は,リフレクトアレーアンテナやトランスミットアレーアンテナにおいても不可欠であり,各々,周波数共用化を図っていくための1次ホーンの検討にも着手する.
また、リフレクトアレー素子ならびにリフレクトアレーアンテナについては,高域側の素子についても、低域側の素子のように2つの偏波で別々の素子によって構成し、両周波数帯ともに偏波独立制御を図っていく.そのため,まず高域側の素子はクロスダイポールを基にした形状を考え、直交偏波で容易に動作させることを検討し,単一周波数帯のアンテナと同等の性能を多周波数共用した場合も実現できるように設計していく.特に,リフレクトアレー素子については,周波数共用化をさらに進めるために,低域,高域だけでなく,さらに別の周波数帯域を設けるための検討も行っていく.
さらに,トランスミットアレー素子ならびにトランスミットアレーアンテナについては,リフレクトアレーとは異なり,反射波の影響を抑えることが重要でかつ困難な課題であり,これについてはフィルタ合成理論,最適化設計などによって,トランスミットアレー素子の周波数応答の高性能化,ならびにトランスミットアレーアンテナの高能率化を検討していく.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Multi-Band Single-Layer Reflectarray Using Arbitrarily-Shaped Elements for Dual Polarization2022

    • 著者名/発表者名
      Inoue Haruyuki、Makino Yuya、Deguchi Hiroyuki、Tsuji Mikio
    • 雑誌名

      2022 IEEE International Symposium on Antennas and Propagation and USNC-URSI Radio Science Meeting (AP-S/URSI)

      巻: 1 ページ: 369-370

    • DOI

      10.1109/AP-S/USNC-URSI47032.2022.9886698

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ring-loaded coaxial groove horn antenna for 12/14/20/30 GHz bands2022

    • 著者名/発表者名
      Ito Shinichi、Nakatani Fumiya、Nanno Hideyuki、Deguchi Hiroyuki、Tsuji Mikio
    • 雑誌名

      2022 IEEE International Symposium on Antennas and Propagation and USNC-URSI Radio Science Meeting (AP-S/URSI)

      巻: 1 ページ: 1774-1775

    • DOI

      10.1109/AP-S/USNC-URSI47032.2022.9886071

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Orthogonal Polarization Conversion Reflectarray Using L-shape Elements2022

    • 著者名/発表者名
      Tanizawa Sota、Deguchi Hiroyuki、Tsuji Mikio
    • 雑誌名

      2022 International Conference on Electromagnetics in Advanced Applications (ICEAA)

      巻: 1 ページ: 67-67

    • DOI

      10.1109/ICEAA49419.2022.9900016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Unit Cell of Wideband Transmitarray Composed of Slots and Patches2022

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Syota、Deguchi Hiroyuki、Tsuji Mikio
    • 雑誌名

      2022 International Conference on Electromagnetics in Advanced Applications (ICEAA)

      巻: 1 ページ: 99-99

    • DOI

      10.1109/ICEAA49419.2022.9899860

    • 査読あり
  • [学会発表] 15GHz帯マルチビーム/30GHz帯偏波共用単層リフレクトアレー2023

    • 著者名/発表者名
      谷澤壮太,井上康成,出口博之,辻 幹男
    • 学会等名
      電子情報通信学会 総合大会
  • [学会発表] 広帯域直交偏波変換L字型素子を用いたリフレクトアレーに関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      谷澤壮太,北井健人,出口博之,辻幹男
    • 学会等名
      電子情報通信学会 電磁界理論研究会
  • [学会発表] 2帯域で領域区分した単位セルをもつリフレクトアレー2022

    • 著者名/発表者名
      牧野由弥,矢野敏洋,出口博之,辻 幹男
    • 学会等名
      電気学会 電磁界理論研究会
  • [学会発表] 7.8/20/30GHz 帯共用多段ステップホーンアンテナに帯域に応じて壁面装荷した折り曲げ溝による交差偏波低減効果について2022

    • 著者名/発表者名
      南野秀幸,伊藤真一,出口博之,辻幹男
    • 学会等名
      電子情報通信学会 電磁界理論研究会
  • [学会発表] 超広帯域トランスミットアレーを構成するための4共振特性をもつスロット結合パッチ単位セルの検2022

    • 著者名/発表者名
      清水翔太,出口博之,辻 幹男
    • 学会等名
      電気学会 電磁界理論研究会
  • [学会発表] 谷澤壮太,出口博之,辻 幹男2022

    • 著者名/発表者名
      偏波変換機能を有するリフレクトアレーの検討
    • 学会等名
      電子情報通信学会 ソサイエティ大会

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公開日: 2023-12-25  

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