研究課題/領域番号 |
20K04479
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
宮嶋 照行 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00261743)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 無線通信システム / 信号処理 / 非直交多元接続 / ビームフォーミング / 全二重伝送 / 干渉抑圧 / ニューラルネット / マルチユーザMIMO |
研究実績の概要 |
本研究は,移動通信システムの周波数利用効率向上のために有効な技術である全二重伝送に着目し,全二重伝送の性能劣化要因である自己干渉を抑圧する手法の高度化,及び,全二重伝送の非直交多元接続(NOMA)への応用を検討するものである.令和4年度は,(1)ニューラルネットによる非線形干渉抑圧法,(2)全二重伝送のNOMAへの応用について検討した. (1)について,全二重動作する通信端末における自己干渉と符号間干渉の問題に対して,ニューラルネットを用いる干渉抑圧法について国内学会にて発表した.提案法の利点として,ニューラルネットの非線形性によって効果的に自己干渉と符号間干渉を同時に抑圧できることと,学習にトレーニング信号を必要としないブラインド型であることが挙げられる.シミュレーションにより,線形の最大比合成より優れた性能が得られることを明らかにした. (2)について,全二重中継機によるリレーアシストNOMA,及び,全二重基地局によるNOMAマルチユーザ通信について検討した.前者について,中継局で自己干渉が発生する状況下で伝送レートを向上するような基地局のビームフォーミング手法を提案した.提案法は計算量が低いという特長を有する.シミュレーションによりほぼ最適な結果が得られることを明らかにした.この成果を論文として投稿し採録が決定した.後者について,上りと下りユーザを収容する基地局において自己干渉が発生する状況下で,サムレートを大きくするようなアンテナ選択法を検討し,国内学会にて発表した.提案法は利用するアンテナ数を制限することでRF回路を少なくできる利点がある.シミュレーションにより提案法の効果を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
投稿した論文が採録されたが掲載までに時間がかかり,その掲載料の支払いが年度をまたぐこととなったため.また,ニューラルネットによる全二重伝送の干渉抑圧と全二重基地局によるNOMAマルチユーザ通信について,更なるシミュレーションが必要であり,それらの成果を論文としてまとめる作業が遅れているため.
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今後の研究の推進方策 |
ニューラルネットによる全二重伝送の干渉抑圧と全二重基地局によるNOMAマルチユーザ通信について,追加のシミュレーションを行う.特に,前者については,装置の不整合性や効率の良い受信機構成について検討を行う.後者については,大規模な問題設定やより効率の良い最適化手法の適用について検討を行う.それらの成果を論文としてまとめて投稿する.
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次年度使用額が生じた理由 |
採録が決定した論文の掲載費が必要である(発行後でないと支払いができないため年度を跨いだ).また,一部検討が不足しており引き続きシミュレーションを行うため,そのシミュレーションに用いるソフトウェアの保守費用が必要である.さらに,それらの結果等をまとめて学会発表・論文投稿を行うための費用が必要である.
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