研究課題/領域番号 |
20K04485
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石井 光治 香川大学, 創造工学部, 准教授 (50403770)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネットワーク化制御 / 無線通信 / 制御理論 / 機械学習 / ネットワーク科学 / 深層展開 / モデル予測制御 |
研究実績の概要 |
本研究は,遠隔に置かれた制御機器を無線で制御するシステムに着目し,無線通信特性を考慮した制御,制御特性を考慮した通信設計を行うことで高信頼な無線制御システムを実現することを目的にしている.これはサイバーフィジカルシステムにおいて,実空間とサイバー空間との制御と同等であり,通信リソースの有効活用が必要不可欠である.多くの通信系の研究では,大容量,高速,低遅延などの最大パフォーマンスや平均パフォーマンス向上を研究目的としているが,本研究課題では,制御特性を改善することを主目的としており,効率的に制御するために効率的な無線リソースを使用する点がオリジナルである.本年度では,以下2つの課題に関して主に研究成果を得ることができた. (1)最もシンプルな無線制御システムとは,1台のコントローラが1台の制御機器を無線により制御するシステムである.コントローラから制御対象までのフィードフォーワード通信路では,コントローラで計算された制御入力を無線で送信し,制御対象では観測した状態をフィードバック通信路を介してコントローラへ送信する.送受信には送信電力リソースがあり,制御状態に応じて,フィードバック通信が重要な場合,またフィードフォーワード通信が重要な場合が存在し,それらを考慮して無線を設計し,さらに無線の特性を考慮した制御入力を同時に設計した.しかし,無線システムの通信プロトコル,誤り訂正符号,量子化,変復調などより実システムを考慮した設計などの検討課題が残っている. (2)複数の機器が自律的に制御するシステムにおいて,機械学習の一種である深層展開技術を用いて高速なシステムを設計した.具体的には,近接の制御器機間で通信を行う際の重みに着目し,その重みを設計した.特にネットワーク構成を考慮して設計することで,ネットワークトポロジーに柔軟に対応できる重みの設計を行った点がオリジナルである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナの影響で研究環境が変わったが,その環境にも適応してきたため,コロナ前と同様のペースで研究が捗った.また,学会発表や国際会議などの投稿件数は少し減っているが,その代わり論文誌への投稿件数が多くなった.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策は今年度と概ね同じである.具体的なの今後の課題,研究計画に関しては,以下の通りである. (1)最もシンプルな無線制御システムにおいては,理想的に通信可能である通信路容量などを用いているが,より実システムを考慮した設計が必要である.具体的には,量子化,誤り訂正符号,変調復調,通信プロトコルなども柔軟に設計するシステムの設計が課題である. (2)マルチエージェントシステムにおける設計では,今年度の成果のさらなる拡張,また他システムへの応用が課題である. (3)1つのコントローラで複数機器を制御するシステムに関しては,現在検討中であり,CSMA/CAシステムをベースにイベント駆動型制御とを組み合わせたバックオフ期間の設計などを行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で旅費が抑えられたことが大きい.また,計算機を購入予定を次年度へ回したことにより,大きく繰り越しが増えた.
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