研究課題/領域番号 |
20K04496
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
陳 強 東北大学, 工学研究科, 教授 (30261580)
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研究分担者 |
佐藤 弘康 東北大学, 工学研究科, 助教 (20302234)
今野 佳祐 東北大学, 工学研究科, 准教授 (20633374)
石井 望 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50232236)
高橋 応明 千葉大学, フロンティア医工学センター, 准教授 (70267342)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アンテナ / 電波伝搬 / 損失媒質 / 海水 / 海中伝搬 |
研究実績の概要 |
本研究は、(a)海中アンテナ設計法の確立、(b)、海中電波即位法の確立、及び(c)擬似スケールモデルによるアンテナ設計・測定法 の三つのサブテーマで実施しており、各テーマの実績概要は以下の通りである。 (a)海中アンテナを設計するため、損失媒質中のアンテナによる電波伝搬の実験と電磁界シミュレーションを行い、妥当性を検証した。また、シース付きダイポールアンテナを作成し、損失媒質中のアンテナ入力インピーダンスを測定し、解析的にインピーダンスを求める式を導出した。さらに、設計したアンテナの損失媒質中の電波伝搬の実験を行い、アンテナの特性を実験により検証した。 (b)位置推定について、解析解を用いたアルゴリズムと機械学習を用いたアルゴリズムで検討を行なった。その結果、どちらも所望の精度内にて位置推定が可能となるアルゴリズムを開発できた。しかしながら、どちらのアルゴリズムにおいても、推定に用いるアンテナが大ポールアンテナであるため、近傍界受信特性が減少する斜め45度方向の位置推定では、RSSのレベルが低いため、位置推定精度が劣化する結果となった。 (c)実寸モデルに対する1/200疑似スケールモデルを想定し、400MHz帯における水槽内測定を実施するために、180度ハイブリッド結合器、2本のセミリジッドケーブルを利用した部分シース付ダイポールアンテナの試作を行った。海水と同程度の濃度の食塩水内で、部分シース付ダイポールアンテナを同一偏波対向させて、ダイポールアンテナ間の距離を変化させ、その間の伝送特性を測定した。その結果、直接波とラテラル波の寄与のゾーンが現れることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り研究を進めており、その成果を学会で多く発表しているため、上記区分を選択した。 (a)海中アンテナについて、海中アンテナの電気特性をシミュレーションと実験により検証した。 (b)位置推定について、所望の精度内にて位置推定が可能となるアルゴリズムを開発できた。 (c)スケールモデル計測法について、部分シース付ダイポールアンテナの試作を行い、アンテナ間の伝送特性を損失媒質中で測定した結果、直接波とラテラル波の寄与のゾーンが現れることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
海中アンテナの設計に関しては、シースの構造やアンテナ露出長をパラメータとしたアンテナの入力インピダーンスの定式化を図り、損失媒質中のシース付きダイポールアンテナの入力インピーダンスと伝搬測定を高精度に求める解析法を検討する。また、磁界結合型のループアンテナの設計法についても検討する。 位置推定アルゴリズムに関しては、波の影響などにより受信アンテナの位置が3次元的に不安定になるため、その影響を吸収する位置推定アルゴリズムの開発が必要となる。受信アンテナの位置が異なる状態を、機械学習させることにより、位置推定結果がどのように変化するか検討を行う。また、位置推定精度の劣化要因となっている受信アンテナの角度特性を改善するアンテナの検討、提案を行う予定である。 疑似スケールモデルにおける電磁界分布を実験的に確認するために、部分シース付ダイポールアンテナ間の伝送特性の三次元計測測定系の構築および測定プログラムの開発を行う。その上で、送受ダイポールアンテナの向きを何通りかに設定し、その間の伝送特性を測定することにより、海面近くに設置された電磁波源による電磁界プロファイルについて検討する。さらに、同時開発中の位置推定アルゴリズムを適用し、実験室レベルでの実測による位置推定の評価を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、予定していた学会参加と一部の実験は実施できなかったため、次年度使用額が生じたのである。 次年度では、論文掲載料、学会参加の旅費、及び実験機材の購入の費用として、残留額を使用する予定である。
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