◆最終年度における実施事項 前年度までに、誘電体共振器と導波管を組み合わせたモデルを構築し、単位セルモデルにおけるゼロ次共振が生じる条件と、ゼロ次共振する周波数付近の帯域における伝搬モードについて明らかにしてきた。 最終年度は、一次元配列にした誘電体共振器メタマテリアルの電磁界分布について、そのセル数の依存性と、電磁界分布において強度が高い部分への試料の挿入時の変化、および試作による実証を行った。システム内部における電磁界分布と分散特性について調べたうえで、電界と磁界のいずれかの強度が高い部分へ誘電体もしくは磁性体の試料を挿入した場合の分散特性の変化についても明らかにした。今回設計したシステムの伝搬モードはシミュレーションよりEH101モードであると考えられる。これらの結果から、誘電体共振器の一次元配列を基にしたシステムに対して試料を挿入することで、分散曲線への変化が生じること、およびセル数の増加や周期性がその変化に与える影響は小さいものと判明した。今回のシステムの場合、誘電体共振器は一次元配列ではなく単セルにして、セル上部に試料を配置することで透磁率を測定するシステムが可能になるものと考えられる。
◆全体を通しての成果 本研究は、当初プリント基板上のパターンを組みあわせた2次元配列セル構造による電磁界分布の制御を想定していた。しかしディスカッションと検討を重ねる中で、メタマテリアルそのものの損失と電磁界分布制御の困難性が明らかになったため、誘電体共振器を導波管内部で1次元配列にしたシステムの設計を進めた。電磁界分布、伝搬モード、分散特性を検討することで、セル数や挿入位置の依存性の観点から、試料を挿入した際の分散特性の変化を明らかにした。また、XYステージと近傍界プローブを組み合わせた電磁界スキャンシステムを構築した。
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