空港をはじめとする水際では,液体やプラスチック等,金属探知機で検知できない不審物を所持する不審者を迅速に検知する手段としてミリ波イメージングが期待されている.装置タイプとしては,検査場において人の全身を撮像して危険物を検出する据え置き型装置と,検査者が手で持ち全身を検査するハンディー型装置に大別でき,ハンディー型装置は設置場所を選ばずに使用できることおよびプライバシーの問題がないこと等の特徴を有している. 本研究では,パッシブ型とアクティブ型の利点を生かしたインコヒーレントパッシブイメージングシステムの開発,および低コスト小型ハンディーアクティブ装置の開発を行った.インコヒーレントパッシブイメージングシステムの開発では,照射源を連続的に走査しながら照射しイメージングを行い,ミリ波イメージングにおける角度依存性の課題を克服可能か評価した.その結果,散乱断面積の小さい被写体は角度依存性が小さく,どの角度から照射を行っても検知特性を向上させることができることを明らかにした.一方,散乱断面積の大きい被写体の場合はすべての照射角度で物体を検知できるわけではなく,ある特定の角度で照射した場合に物体からの散乱波がイメージング素子に入射し,コントラスト向上効果を得た.また,照射偏波,物体の配置を変えてイメージングを行い,実験によってインコヒーレントアクティブミリ波イメージングの照射偏波依存性を検討した.その結果,主偏波で照射を行ったときに物体のコントラストが向上すること,円筒導体のような特定の方向に長さを持つ偏波依存性の大きい物体においては,主偏波と物体偏波が直交しても,照射したミリ波に対して物体の直径が大きければコントラストが向上する知見を得た.一方,最終年度には小型ハンディーアクティブ装置の開発を進め,特定の位置に電波を集光させることが可能な導波管漏れ波集光アンテナを提案した.
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