研究課題/領域番号 |
20K04523
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研究機関 | 旭川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
松岡 俊佑 旭川工業高等専門学校, 機械システム工学科, 准教授 (00435398)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超音波 / GPS / 測位 |
研究実績の概要 |
申請者の令和元年度までの研究では,独自に開発した方式を導入してリアルタイムで測位可能な超音波測位システムを試作した.しかしながら,超音波送受信機の指向性の狭さが要因となり,測位誤差が生じることが判明した.令和2年度から実施する本申請課題では,実用化へ向けた次の段階として,測位システムを改良し,測位範囲を拡大させることを目的とする.申請計画では令和2年度は次の①~③の課題に取り組むことを予定していた. ①受信回路のコンパクト化 ②測定処理の改善 ③フェーズドアレイ送信機の導入による指向範囲の拡大 ①の課題については,申請者の先行研究においてPSoCマイコンと呼ばれる内部にアナログ回路とCPUが内蔵されたICを用いて受信回路を構築した.しかし,使用したPSoC1シリーズのICは現在生産中止となっている.そこで,令和2年度は最新のPSoC5シリーズのICを用いて受信回路を再構築した.また,構築した超音波距離計を用いて距離特性実験を行ったところ,200cmの距離において誤差が8cmとなった.さらに,距離が延びるにつれて1回当たりの測定のばらつきも大きくなり,測定精度の改善が必要であることが判明した.②の測定処理の改善についてはソフトウェア処理の導入を検討しており,令和3年度への実施に変更した.③の指向範囲を拡大させる方法として,アレイ送信機を導入することにより送信信号の強度を向上させる方法について検討した.50個の送信機を配置してアレイ送信機を構築し,距離測定実験を行ったところ,測定可能な最大距離は100cmと,送信機1個のときよりも劣化することが判明した.理由として超音波の波の干渉が予想される.この原因としては各送信信号間の干渉により,信号が弱まってしまったことが考えられるので,令和3年度は数値シミュレーションにより原因を調査していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PSoC5LPを用いて超音波距離計を構築したところ,予想に反して精度の改善が必要であることが判明した.そこで,精度向上の手法としてソフトウェア処理の導入を検討しており,当初の研究計画を一部変更した.また,アレイ送信機を構築したが,送信信号間で干渉が生じ,特定方向において強度が劣化することが判明した.研究計画では令和2年度までにアレイ送信機による強度の改善方法を確立させる予定であったが,令和3年度も引き続き取り組む.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,超音波距離計にソフトウェア処理を導入することにより測定精度の改善に取り組む.ただし,ソフトウェア処理時間の向上が大きな技術的な課題となるので,高速化手法について検討していく.また,数値シミュレーションを活用しながらアレイ送信機やフェーズドアレイ送信器を構築していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度初めより,新型コロナウイルス感染の影響で緊急事態宣言が発令され,相次いで学会が中止になった.また,北海道外への移動も制限されたことから,予定していた旅費の使用はなかった.令和3年度についてもオンラインでの学会発表やWEBでの研究打ち合わせの実施を予定しており,そのための機材としてWEBカメラや撮影機材,およびノートPCを購入する.また,通常スペックとハイスペックの数値計算用計算機をそれぞれ購入する.
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