研究課題/領域番号 |
20K04528
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
植松 明久 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 主任研究開発員 (00450685)
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研究分担者 |
西堀 俊幸 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究領域主幹 (80280361)
川口 則幸 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 名誉教授 (90214618)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 合成開口レーダ / ディジタル送信制御 / 周波数多重化 / ディジタルビームフォーミング |
研究実績の概要 |
1. 衛星搭載合成開口レーダの観測幅拡大方法の一方策として、送信周波数の多重化方法について、複数の開口面を束ねたアンテナを用い、開口面ごとに複数の異なる周波数チャネルの和信号を生成し、チャネル毎に観測領域を割り当て、ビームフォーミングにより観測幅内の割り当てられた各領域へ、各周波数のチャープ信号を同時送信することにより、観測幅を拡大し、ひいては観測頻度を高めることを可能とする方式の提案を実施した。海外で提案されている別方式と比較すると、単位周波数あたりの瞬時電力密度は増大しないため、他の人工衛星局への干渉リスクの増大を抑制しつつ、観測幅の拡大が可能である点が強みとなる。単位周波数あたりの瞬時電力密度について、2020年度に構築したシミュレーション環境を活用し、確認を実施した。また、提案方式について、特許出願を実施した。 2. 周波数多重送信合成開口レーダのレンジ圧縮・送受信・復元の一連の過程を無線レベルで確認するため、ソフトウェア無線機とアンテナを組み合わせた実験系を電波暗室内に整備した。また、それぞれ独立したチャネルから同時送信後、信号合成を行い受信を行う実験を無線レベルで実施し、チャネル毎に信号を分離して独立にレンジ圧縮可能であることを確認した。 3. ビーム指向能力の検証を行うため、複数のアンテナ素子を用いて、独立したチャネル毎にビーム方向を定めるためのビームフォーミング機能を実装するための装置構成及びプログラムの検討を進めた。 4. 電波暗室内でのターゲット反射実験を行うため、サーキュレータを追加した装置構成の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソフトウェア無線機を用いたビーム指向能力の検証について、異なる周波数チャネル毎のビーム角度を個別に設定するにあたり、実装部分のプログラムの検討に時間を要した。そのため、送信ビーム制御の効果を確認する段階まで至らなかった。また、パルス圧縮可能なレーダ散乱計として活用してターゲット反射実験を行うための室内実験装置の改修が完了しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、ビーム指向部分の実装作業を完成させ、室内実験により送信ビーム制御の効果を確認する。また、実験装置を改修し、パルス圧縮可能なレーダ散乱計として活用できるようにするとともに、散乱体からの受信信号データを取得することにより、周波数チャネル間での送信ビーム制御効果を踏まえたターゲット分離能力を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、パルス圧縮可能なレーダ散乱計として活用するにあたり、実験に必要な反射体の検討まで至らなかったため、反射体の組み立てに必要な物品の購入を次年度に先延ばししたためである。2022年度は、次年度使用額と当該年度使用額を合わせ、反射体を含むレーダ散乱計として必要な残りの物品を購入し、レーダ散乱計として実験を進めることとする。
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