研究実績の概要 |
パワーエレクトロニクスをはじめとするさまざまな分野でパルス変調方式を用いた制御系が構築され,省エネルギーの実現などその有意性は広く認められている.ところが,この方式が有する非線形特性が原因で,いまだ高速高精度のモーションコントロールには敬遠される現状がある.この問題に対し,報告者らは,制御周期内におけるパルス矩形波の幅だけでなく,その数や配置を操作する新しい方式を提案して,問題の緩和を図ってきた.本研究では,制御周期に比べて速いダイナミクスの影響を考慮に入れることで制御性能をさらに高める方法を開発している. 2020年度(初年度)は,パルス変調駆動高次系のフィードフォワード入力設計において周波数整形型終端状態制御を応用し,高い周波数域の振る舞いを再現できるが構築にコストを要する精密モデルを利用する代わりに,信頼度の高い低次モデルの採用と入力のパワースペクトル密度の調整によって,制御対象の高次モード励起を抑制しながら高精度位置決めを達成する方法を開発した.その成果を国内外の学会で発表した(文献 [1,2]). [1] 瀧澤, 鈴木, 平田: 周波数整形PWM型終端状態制御における量子化誤差の影響低減に関する検討, 電気学会メカトロニクス制御研究会, MEC-20-038, pp.93--98, 2020. [2] M. Suzuki, Y. Takizawa and M. Hirata: A study on frequency-shaped PWM-type final-state control with quantization, Proc. of IEEE ICM, TD-002348, 2021.
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