研究実績の概要 |
令和4年度は、CNNのアーキテクチャとして非線形補償器に最適な層数などを検討した.入力シンボル数を増やすことも有効な手段の一つと捉え、また2次元CNNとして、受信シンボルのI成分・Q成分を2次元複素平面内に表示する方式、I成分・Q成分それぞれの時間的な経緯を並列で持つことで2次元的な情報を持つ方式を比較した。検討を進めるプラットフォームとしては、MATLABからpythonに変更し、伝送結果の妥当性を確認した。また,主に伝送距離を変えてDBPとの比較検討を行い、線形補償のみに対する優位性にとどまらず、CNNの非線形補償性能の優位性を検討した。以上の検討の結果、以下の結果を得た。 (1) 2次元CNNの層構造として、畳み込み層にReLU関数を用いた2回あるいは3回繰り返した後にプーリング層との組み合わせを6回行う構成を用いた。その出力を全結合層・ソフトマックス層を通して分類を完了する。検討としては、入力シンボルの連続数を3~13で変え、また伝送距離をSMF6000km~10,000km(1000km間隔)で可変とした。変調フォーマットNRZ-QPSK,入力光パワー5dBm,ボーレート28Gbaud,中心波長1550nm固定とした.(2) 一般的な優位性の評価軸として、線形補償のみによる場合、DBP(1step/span, 2step/span)を比較対象とした。2次元複素平面表示、I・Q成分の2並列方式とも、線形補償のみよりBER特性は良好だが、前者は1step/span DBPと同程度、後者は1step/spanと2step/span DBPの中間的なBER特性となった。以上から、CNNの構成として、I・Q成分の2並列方式が良く、2step/span DBPを凌駕するには層構成など更なる検討が必要である結果が得られた。
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