研究課題/領域番号 |
20K04537
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
國松 禎明 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (30379309)
|
研究分担者 |
水本 郁朗 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (30239256)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 耐故障制御 / 故障検出 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
令和2年度における研究実績の概要は以下のとおりである. 1) これまで考えてきた制御器の切り替えが伴わないパッシブ型の耐故障制御では,故障発生後に制御性能を維持することが難しいという問題点があった.そこで,制御器の切り替えが伴うアクティブ型の耐故障制御について検討してきた.安定な制御対象に対して,アクチュエータの冗長化と2自由度制御系化により,センサ・アクチュエータの同時故障にも閉ループ系の安定化を可能とする耐故障制御の枠組みを用意した.そして,フィードフォワード部を切り替えることで,閉ループ系の安定性に影響を与えることなく,同時故障に対応可能なサーボ系の設計方法を導出した.また,シミュレーションにて同時故障発生時でもサーボ系が実現可能であることを確認した. 2) 上記1)では,センサ故障およびアクチュエータ故障が自動的に検出可能であることを前提としていた.そこで,センサ故障と断線故障を含むアクチュエータ異常が同時に起こり得る場合の故障検出方法について検討し,故障検知用のハードウェアを導入することなく制御装置が通常入手可能な入出力データのみを用いて,センサ故障,アクチュエータ異常ともにソフトウェア的に自動的に検出できる手法を提案した.特に,これまで難しかったセンサ故障発生後にアクチュエータ異常が起こるような場合についても検出可能な手法を提案した.また,その手法を用いて耐故障サーボが実現可能であることを示した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の進捗状況から,研究はおおむね順調に進展していると考えている. 1) センサ故障と断線を含むアクチュエータ異常に対してだけではあるが,故障が発生した際にフィードフォワード制御器を切り替えることで,閉ループ系の安定化を保証しつつ,同時に制御性能の維持を実現できる耐故障制御系の枠組みを用意できた. 2) センサの断線故障,アクチュエータの断線故障を含む異常について,ソフトウェア的に故障を検知できる枠組みを用意した.そして,その故障検出手法を用いて,故障発生後に自動的にフィードフォワード制御器を切り替えて耐故障サーボを実現できることを確認した. 3) 成果発表としては今年度に間に合わなかったが,何らかの故障発生後に制御対象の特性変動が起こる可能性を想定して,深層学習を用いた簡便なパラメータ同定法についての検討を行った.これまでも低次なシステムについては推定が行えていたが,より高次のシステムについても1組の入出力データから瞬時にパラメトリックなモデルを求めることができることを確認した.
|
今後の研究の推進方策 |
令和3年度では,以下の研究を中心に推進していく予定である. 1)センサ・アクチュエータの同時故障に対応可能なサーボ系の設計方法は導出できているが,故障の誤検出に対するロバスト性などの検証にまだ不十分なところがあるため,更なる改良を進める. 2) 深層学習を用いたシステムパラメータの同定手法を活用して,センサ・アクチュエータ以外の故障や異常に関する検知方法について検討する.1組の入出力データから瞬時にパラメータ推定できる特長を利用して,高速・高精度な故障検知の実現を目指す. 3)これまでセンサとアクチュエータの故障や異常のみを想定して,入出力データの分析を行ってきたが,消耗部品の故障なども想定し,機械学習による故障の分類について検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)新型コロナウイルスの影響で,予定していた出張が取りやめになったため. (使用計画)計算機にて機械学習を実行する際,想定を超える演算時間がかかっているため,より性能の高い計算機を購入予定である.
|