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2020 年度 実施状況報告書

分散最適化を用いた浮体式洋上ウィンドファームの制御

研究課題

研究課題/領域番号 20K04539
研究機関大阪府立大学

研究代表者

原 尚之  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10508386)

研究分担者 二瓶 泰範  大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00470055)
林 直樹  大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (80637752)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード浮体式洋上風車 / ウィンドファーム / 分散最適化
研究実績の概要

分散最適化に基づく浮体式洋上ウィンドファームの制御に関し,次のようなことを実施した.複数の浮体式洋上風車からなるウィンドファームにおいて,ウィンドファームの総発電量に関する制約を考慮したブレードピッチ角制御法を考察した.ブレードピッチ角制御はカップリング制約付きのLQ制御問題として定式化され,個々の風車をエージェントと見立て分散最適化問題を解くことにより,協調的なブレードピッチ角制御法を求めた.また,風車の動作条件は,環境条件(風や波など)により異なるので,モデルベースでこのような制御を考える場合,そのモデル(パラメータ)を適宜修正していく必要がある.そこで,モデルを学習により更新し,協調的にウィンドファームを制御する制御法についても考えた.分散最適化を実際に適用する場合,個々の風車(エージェント)は通信により情報交換をする.そこで,通信において実際に起こり得る状況を含め分散最適化による制御法を評価するため,複数の小型マイコンに分散最適化アルゴリズムを実装し,実際の通信により情報交換し最適化問題を解かせるプログラムを現在作成中である.
個々の風車の疲労低減を図る制御法についても検討を進めた.ブレードピッチ角制御器を,予見制御法,適応制御法,カルマンフィルタを用い設計する方法を検討し,それぞれについて発表をおこなった.また特に,ウェイク条件下で起こり得るウィンドシアが存在する条件下での制御に関するものとして,ウィンドシアの予見情報を用いる制御について検討をおこない,その内容を発表予定である.複数の浮体式風車のスケール模型を用いた実験については,予定通り高速デジタル信号処理システムを購入した.今後,このシステムを用いた実験環境を整えてゆき大型水槽での実験に備える.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分散最適化を用いたウィンドファームの制御について,検討を進められた.また,個々の風車の荷重低減を図る制御についても,いくつかのアプローチにより制御法を検討できた.スケール模型を用いた実機実験に向け,信号処理システムを購入し環境整備を図った.

今後の研究の推進方策

分散最適化を用いたウィンドファームの協調制御については,小型マイコンを用いた実装・評価を引き続き進める.またウェイクの影響を考慮した協調制御についても検討をしたい.ウェイク条件下での個々の風車の疲労低減法については,最適な制御方法について検討を進め,FASTを用いた高精度シミュレーションにより評価をする.スケール模型による実験については,引き続き実験環境を整え,動作テストを含めた予備実験につなげていきたい.

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響で,参加したすべての会議がオンライン開催であり旅費の支出がなかったため,次年度使用額が生じた.この次年度使用額については,翌年度分として請求した助成金と合わせて,国内・国際学会への参加費,論文の出版費,実験環境の整備費として利用する.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] ウィンドファームの分散協調制御2021

    • 著者名/発表者名
      林直樹,原尚之
    • 雑誌名

      電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review

      巻: 14 ページ: 170/180

    • DOI

      10.1587/essfr.14.3_170

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 予見する風速を用いた浮体式洋上風車スケール模型のブレードピッチ角制御2020

    • 著者名/発表者名
      津屋朋花,原尚之,小西啓治
    • 雑誌名

      計測自動制御学会論文集

      巻: 56 ページ: 299/309

    • DOI

      10.9746/sicetr.56.299

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 浮体式洋上ウィンドファームにおける総発電量の調整を考慮した分散ブレードピッチ角制御2020

    • 著者名/発表者名
      橋本航, 林直樹, 原尚之, 高井重昌
    • 雑誌名

      計測自動制御学会論文集

      巻: 56 ページ: 395/402

    • DOI

      10.9746/sicetr.56.395

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Blade pitch controller design based on model reference adaptive control for floating offshore wind turbines2021

    • 著者名/発表者名
      M. Yu, N. Hara, and K. Konishi
    • 学会等名
      SICE International Symposium on Control Systems 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] State estimator for floating offshore wind turbines and performance evaluation2020

    • 著者名/発表者名
      H. Tanabe, N. Hara, and K. Konishi
    • 学会等名
      ASME 2020 39th International Conference on Ocean, Offshore and Arctic Engineering
    • 国際学会
  • [学会発表] Blade pitch controller design using wind preview information for reduction of wind turbine loads2020

    • 著者名/発表者名
      T. Tsuya, N. Hara, and K. Konishi
    • 学会等名
      SICE Annual Conference 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] 風速の予見情報を用いた個別ブレードピッチ角制御2020

    • 著者名/発表者名
      津屋朋花,原尚之,小西啓治
    • 学会等名
      第63回自動制御連合講演会
  • [学会発表] 学習ベーストモデル予測制御による風車の荷重を考慮したウィンドファームの協調的有効電力制御2020

    • 著者名/発表者名
      橋本航, 林直樹, 高井重昌,原尚之
    • 学会等名
      第63回自動制御連合講演会
  • [学会発表] 風速の予見情報による補償をもつPI制御器を用いた浮体式洋上風車のブレードピッチ角制御2020

    • 著者名/発表者名
      津屋朋花,原尚之,小西啓治
    • 学会等名
      第42回風力エネルギー利用シンポジウム

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公開日: 2021-12-27  

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